13日(米国時間)に誕生10周年を迎えたNetscapeブラウザは、以前の輝きを失い、すっかり変わり果ててしまっている。しかし、だからといって、ウェブの歴史の中で最も多く語られたこのブランドが消えてしまったというわけではない。
CNET News.comが入手した情報によると、Netscape社を高額で買収した後、何年も方針が揺れ動いていたAmerica Online(AOL)は、現在再び同ブランドの復活に向け、準備を進めているという。
AOLは、過去1年間にNetscapeのプログラマを何百人もレイオフしており、また競合するInternet Explorer(IE)の技術をもとにしたスタンドアローンのブラウザを開発中だと報じられていたことから、この動きは予想外のものといえる。
だが、AOLの計画に明るい情報筋の話によると、同社は現在新バージョンのNetscapeブラウザとウェブポータルの最終仕上げを行っているところだという。同社はこれらを12月か来年1月に発表する新たなマーケティング戦略に合わせて公開すると見られている。
AOLは新しいNetscapeにどんな機能を搭載するかについては詳細を明かさなかった。しかし同社の計画に詳しい情報筋によると、このブラウザの開発は、現在進行中のIEベースのブラウザ開発とは全く別の取り組みだという。AOLはまた、ポータルやマーケティングの取り組みを年末から年始付近に開始すると述べたが、それ以外の詳細は明らかにしていない。
「Netscapeは今後も、インターネット上で最も価値あるブランドであり、最も価値のある製品であり続けるだろう。そして、Netscapeチームはこうした強みを利用しながら、同ブランドや製品の再活性化に真剣に取り組んでいる」とAOLの広報Andrew Weinsteinは述べている。
今週Netscapeは、これまでにない大規模な改革の兆候がみられるなかで、誕生10周年を祝うことになる。しかしAOLは、この色あせたブランドに世間の注目を集めるため努力を強いられることになるだろう。
ブラウザ市場を支配するMicrosoftのInternet Explorerには、何年も大規模な機能の追加が行なわれていないことから、Netscapeの血筋を受け継ぐFirefoxや、Opera SoftwareのOpera、Apple ComputerのSafariなど、シェアの小さな競合製品にもチャンスが生まれている。
だが、Microsoftからのいじめを受け、後にはAOLに50億ドルで買い取られはしたものの、結局放置されてしまったNetscapeのブラウザは弱体化しており、この新たな競争のチャンスを傍観することになるかもしれない。
「たしかに、Netscapeがインターネット上でもっとも強力なブランドの1つに数えられていた時代もあった。しかし、このブランドは過去数年の間にかなりひどいダメージを受けてしまった。Netscapeに対する消費者の認知度がこれだけ下がってしまったいま、AOLが同ブランドをどう復活させるのかについては見当が付きにくい」と、市場調査会社JupiterのアナリストであるMichael Gartenbergは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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