JavaソフトウェアをめぐりEastman Kodakから提訴されていた特許訴訟について、Sun Microsystemsは、9200万ドルを支払うことでKodakから特許のライセンス提供を受けることに同意し、和解が成立した。
今回の和解は、JavaがKodakの保有する特許3件を侵害しているとしてニューヨーク州西部連邦地方裁判所に起こされていた訴訟で、陪審員がKodakに勝訴を言い渡してから1週間もしない米国時間7日に発表された。KodakはSunに10億ドルの損害賠償を求めていた。
Sunは声明のなかで、「この和解は、Sunが自社製品と知的財産を守ることを世界中の顧客に保証し、訴訟の長期化や控訴から生じるあらゆる不安材料を排除するものだ」と述べた。
Kodakは、この和解が「暫定的」なものであるとしたうえで、知的財産を保護する目標は達成されたと述べた。KodakのシニアバイスプレジデントWilly Shihは声明を出し、「裁判、Kodakの重要な特許の有効性が確認されたことをうれしく思う。今後は、Sunとより有意義な関係を築き、協力関係を継続してきたい」と述べた。
Kodakの広報担当David Lanzilloは、同社がこれらの特許をめぐり他の会社の提訴も計画しているのかについて、コメントを控えている。
Javaソフトウェアを販売しているのはSunだけではない。実際のところ、Javaインフラの販売ではIBMやBEA Systemsの方がSunよりはるかに多くの利益を上げている。しかし、Sunの広報担当May Petryは、ライセンシーは保護されているとし、「今回の和解は、SunからJavaのライセンス提供を受けて開発されたJavaベースの製品にも適用される」と述べた。
Javaでは、Java Virtual Machineと呼ばれるソフトウェアが各種オペレーティングシステム(OS)やハードウェアの違いを吸収するため、単一のプログラムをさまざまなコンピュータ上で稼働させることができる。Javaはサーバや携帯電話で幅広く利用されている。
ライセンス契約
Lanzilloは、Kodakが1997年にWang Laboratoriesから買収した特許--登録番号5,206,951、5,421,012、5,226,161--には、プログラムが別のプログラムに支援を求めるときに使われる技術が含まれていると述べた。
Java支持者の大半は何年も前にSunとのライセンス契約に署名しているが、その後、オープンソースのJavaソフトウェアプロジェクトが3つ登場した。JBoss、Geronimo、ObjectWebは、どれも昨年Javaのライセンシーとなった。
JBossの最高経営責任者(CEO)Marc Fleuryは7日、同社がJavaライセンス契約を結んだのは特許訴訟の回避が目的ではなかったとしたうえで、Sunのライセンシー保護を歓迎すると語った。
Fleuryはインタビューに答え、「不安定な状況だったので、この問題が解決したことは喜ばしい。Javaにとって最も適切な行動をとり、ライセンシーを保護してくれたSunを私は信頼している。(Sunが別の手段に出れば)業界はたいへんなことになっていた」と述べた。
Microsoftにも、Javaに類似した.Netというソフトウェアがある。しかしLanzilloは、Hewlett-PackardやIBMと同様、MicrosoftもKodakからライセンス提供を受けている、と語った。
しかし、IlluminataのアナリストJonathan Euniceは今週発表したレポートのなかで、問題になっているKodakの特許は適用範囲が非常に広く、コンピューティング業界全体に影響を及ぼす可能性がある、と述べている。
「Kodakの特許は、あるシステムやモジュールが別のものにタスクの実行支援を求めるという概念全体をカバーしていると言っても過言ではない。これらの特許では、明らかにJavaの一部で使われているような具体的な概念について言及している。これらの特許は、現代のプログラミング言語やOS、(データベース)エンジン、メッセージングブローカ、アプリケーションサーバなど、あらゆる実行環境をカバーしているように見える」(Eunice)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力