IBMは米国時間14日、製造業および中堅規模サプライヤーを対象としたRFID(無線ICタグ)関連サービスを2種類発表した。
IBMは、自動車/航空/製造/化学/製紙/エレクトロニクスをはじめとする特定業界向けのサービスパッケージの提供を開始した。業界ごとの特性に合わせたRFIDタグサービスが提供されれば、ユーザーはより迅速かつ効率的にRFIDインフラを計画/構築することができるようになるとIBMは述べる。
RFIDタグは自身に搭載された無線アンテナを利用して、貼付先の製品の情報を読み取り器に送信する。専門家らは、RFIDシステムを導入すれば、企業は在庫管理業務を効率化できるほか、コストを削減したり、サプライチェーンに関わる問題を解決したりすることができると述べる。RFID市場の発展を牽引しているのが、米国の小売チェーンであるWal-MartやTarget、欧州の大手スーパーマーケットTescoだ。この3社は、自社の最大規模のサプライヤー各社にRFIDシステムを実装するよう命じている。
IBMによると、このRFIDパッケージには、事業戦略や社内パイロットプログラムを開発したり、パートナー企業とのシステムを統合したり、技術を導入したりするためのツールが含まれるという。プログラムの一環として、IBMの顧客は米国やフランス、日本にあるIBMのRFID試験センターを利用することもできる。この取り組みには、IBMのリサーチビジネス部門も加わり、個々にカスタマイズされたRFIDシステムの設計を支援する予定だ。
製造業用RFIDシステムの構築例として、IBMは昨年11月からRFIDタグシステムを導入しているPhilips Semiconductorsの事例を挙げた。半導体メーカーである同社は、シリコンウエハの入った全てのケースや段ボール箱にRFIDタグを貼付している。2社によると、Philipsでは現在、台湾の製造拠点や香港の物流センターで同システムを試験的に導入しているという。
アナリストらは、今後1年間、製造メーカー各社はRFIDに大規模な投資を行い続けるだろうと予測している。Yankee Groupは14日に発表した調査レポートのなかで、2005年に消費財製造メーカー各社がRFIDシステムに投資する金額は平均690万ドルになるだろうと予測している。
またIBMは同日、中堅規模のサプライヤー向けに開発したRFIDサービスを初めて発表した。IBMは、従業員1000名以下の企業が同サービスの対象になると述べる。IBMの幹部らによると、Wal-MartやTargetと取引する中堅規模のサプライヤーをはじめ、多くの中小企業が迅速にRFID技術を導入する方法を模索し始めており、中規模市場にはRFIDを売り込むチャンスがたくさんあるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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