Sybaseは米国時間8日、同社の「Adaptive Server Enterprise (ASE)」データベースのLinuxバージョンを無償で公開したと発表した。
同社マーケティングディレクターのDavid Jacobsonは、ビジネス用データベースをLinuxマシンで試験的に動かしてみたいと考える顧客向けに、このデータベースは開発されたと述べている。
「わが社の顧客のなかには、現有のUnixマシンからLinuxへの移行を望んでいる企業が多い」とJacobson。「こうした企業では予算上の制約から、Linuxを試すのに無料のオープンソースデータベースが使われている。しかし、われわれとしては彼らにASEを試す機会を提供したい」(Jacobson)
「ASE Express Edition for Linux」と呼ばれるこの無料版は、ASE 12.5.2の主要な機能を備えているが、シングルプロセッサ・マシンでしか動作せず、データ保存容量も最大で5Gバイト、使用可能なメモリも最高2Gバイトとなっている。
SybaseはASE Express Edition for Linuxを無料で使えるライセンスを提供しているが、ソースコードのほうは公開していない。Jacobsonはソースコードを公開することについて、コスト削減ほど重要ではないと言い切った。
「顧客は無料のデータベースを入手したがっているが、ソースコードを見られるかどうかにはさほど関心がない」(Jacobson)
Jacobsonはオープンソースのデータベースにはいくつかの問題があり、そのため顧客はSybaseの無料データベースに関心を持つようになるだろうと述べた。
「ASEは、可用性や安全性が高く、複製もしやすいなど、さまざまな企業向けの機能を備えている。またライセンスの問題もある。もし企業がGPL(一般公有使用許諾)のライセンス付きオープンソースソフトウェアを再販したい場合には、ライセンス料を支払わなければならない。一方、ASEのライセンスは無料だ」(Jacobson)
オープンソースデータベースの「MySQL」はGPLの下で提供されている。これに対し、PostgreSQLという別のオープンソースデータベースは、BSDライセンスに基づいて公開されており、企業は著作権表示を入れさえすればライセンス料を支払わなくてもよいことになる。
Jacobsonは、オープンソースのデータベースにはSybaseの製品ほど実績が無いと主張する。「ASEデータベースはわが社の主力商品。20年間の実績があり、製造業の分野で4万社の顧客がいる」(Jacobson)
一方で、PostgreSQLの開発者であるSimon Riggsは9日、ASEのもたらす影響については心配していないと述べた。むしろ彼は、これをオープンソースデータベースの競争力を各社が認識し始めたことを示すもうひとつの証拠と捕らえている。
「これはまったく脅威ではなく、実際にはよい印と受け取ることもできる。企業各社は明らかに、PostgreSQLのようなフリーのオープンソース・データベースソフトを深刻な脅威と受け止めており、わざわざ自社製品の無料版を開発しているほどだ」(Riggs)
Sybaseのほかにも、これまでにオープンソースのデータベースと競争しようとした企業はいくつかある。Microsoftは6月後半にSQL Serverの「Express Edition」という無料版をリリースしており、Computer Associates Internationalでも8月に同社の 「Ingres r3」のソースコードを公開していた
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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