日立製作所は、楕円曲線暗号の演算処理を高速化する計算手法Mutual Opposite Form(MOF:相互交代形式)を開発した。同社が8月23日に明らかにしたもの。「省メモリ/低消費電力で高速な暗号/署名処理が可能なことから、楕円曲線暗号を携帯電話などのモバイル機器でも利用できるようになる」(同社)
楕円曲線暗号は、短いビット長で高い安全性を実現できるので、モバイル情報端末機器に適しているという。しかし、「実際にモバイル情報端末機器に搭載するには、限られたメモリ使用量で高速暗号計算をする技術の開発が必要」(同社)であった。
MOFでは、0、1、−1という3つの値を用いる符号付きバイナリ表現を採用。その結果、演算が効率化し、楕円曲線暗号の高速化につながった。さらに、最上位ビットから変換する計算手法を開発したことで、最上位ビットから変換する必要がある楕円曲線暗号を「世界で初めて」(同社)符号付きバイナリ表現で演算できた。「最上位ビットから変換する手法は、計算機科学分野において長いあいだ未解決問題として知られていた。この問題を解決した影響は、学術的な意味合いからも大きい」(同社)
MOFを用いると、楕円暗号処理を高速化できるので、メモリ容量の限られるモバイル情報端末機器にも安全性の高い楕円曲線暗号の搭載が可能となる。
なお、MOFの開発には、ドイツのダルムシュタット工科大も協力した。
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