オーストラリアのある地元企業が「Linux」という単語を商標登録しようとしているが、この動きを阻止しようと、同国のオープンソース擁護団体がLinus Torvaldsに応援を求めている。
Linuxソフトウェアのプラットホーム作りに取り組む開発者を代表するLinux Australia Inc.は、Linuxの生みの親であるLinus Torvaldsに対し、「Linux」という言葉の商標権を持つのは自分であることをオーストラリアで証明するよう依頼した。Torvaldsは1997年に、米国で同様の主張を行っている。
「米国では、同氏に商標権があることが認められている。今度はオーストラリアで同じことをする番だ。オーストラリアでは、Linuxという言葉が様々な人に使用されてしまっている」と、Linux Australiaの弁護士Jeremy Malcomは述べた。
Linux Australiaは、南オーストラリアのある企業が「Linux」という語を商標登録しようと出願したことを機に、自分たちの組織名を保護する目的で、今回の論争を開始した。
Malcomによれば、同組織は、1990年代半ばから未登録の商標として「Linux」という言葉を使用してきたという。しかし、昨年5月にアデレードに本社を置くLinux Australia Pty. Ltdという企業が、知的所有権を管理する政府機関のIP Australiaに対して「Linux」という単語の商標登録を出願し、先を越されてしまった。
「Linux Australiaは、Linuxコミュニティを運営する非営利組織として、オープンソースコミュニティで広く知られている。一企業が市場でその名前を使用することは、無用の混乱を招くだけだ。これは誰の利益にもならない」(Malcom)
Malcomによると、Linux Australiaは、商標登録を審査官に拒否されたLinux Australia Pty. Ltdから、「協力」を求める書簡を昨年の9月9日に受け取ったという。
どうやらこれが、同組織が、Torvaldsや国際的なLinuxコミュニティに代わって行動を起こすきっかけとなったようだ。
同組織は今年1月、Linux Australia Pty. Ltdの要請を断り、「Linux」の商標登録を自ら出願した。しかし、IP Australiaは、Torvaldsの支持を取り付けた証拠がないとして、同組織の申請も却下している。
「商標の所有者であるLinus Torvaldsから若干の情報提供を受けた。これが何らかの助けになることを希望している」と、Malcomは述べた。
Malcomは、Torvaldsから得たという情報について、Torvaldsの方がどの地元企業よりも、「Linux」という単語を長く使用してきたことを証明する上で役立つと述べる。
Torvaldsがこのような主張をしなければならなくなったのは今回が初めてではない。「Linux」という単語を商標登録したWilliam Della Croceが1996年に、米国のLinuxベンダに対して商標の使用料を要求したことがあった。その際、Torvaldsは立ち上がり、この単語の使用権をオープンソースコミュニティに戻したことがある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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