IBMは米国時間11日に、ある企業ユーザーが同社のzSeriesとLinuxを利用して、ビジネスアプリケーションの大規模な統合を行うことを発表する。これは、メインフレームが復活を遂げつつある新たな兆候だ。
IBMによれば、Endress+Hauserというドイツの産業用計測機器などのメーカーでは、現在保有している19種類のSAP製アプリケーションを、ドイツのデータセンタにある2台のz990メインフレームに統合する計画だという。合わせて36基のプロセッサ上が動作するこのシステムは、欧州で最大規模のLinuxメインフレームだとIBMは述べている。
「メインフレームでのLinux利用はいつでも主流になれる状態にある」と、IBMでインフラ簡素化プログラムのマネージャを務めるJim Goethalsは述べ、「これは本物だ」と付け加えた。
IBMによると、Endress+Hauserは過去にSAPアプリケーションを複数のUnixサーバで動かしていたという。同社は、Endress+Hauserからの受注に関する条件について、詳細を明らかにしなかった。なお、IBMの広報担当者は、z990クラスのメインフレームの価格について、通常100万ドルからスタートすると述べている。
数年前には、恐竜のように滅びる運命にあると見なされていたメインフレームだが、ネットワーク性能の向上や強力な仮想化技術などの要素を取り込むことで、このところ新たな需要を生み出していると、調査会社IlluminataのアナリストJonathan Euniceは述べている。仮想化とは、同一マシン上で2つ以上のOSの動作を可能にする技術を指す。IBMによると、同社のメインフレームでは数百の「仮想サーバ」を同時に動かせるという。
今回のEndress+Hauserとの契約はまた、オープンソースOSのLinuxが新たな分野にも進出し始めていることを示すものだとEuniceはいう。「Linuxは『ウェブサーバ用としては素晴らしいが、それ以外の用途では(不安が残る)』と攻撃されることが多かった。だが、自社のビジネスアプリケーションをLinux上で動かすことに興味を持つ企業は非常に多く存在している」(Eunice)
IBMのメインフレームの売上は、過去3四半期続けて、前年比30%以上の伸びを記録している。
IBMのメインフレームは、Sun Microsystems、Hewlett-Packard(HP)、さらにIBMのUnixサーバと、一部で競合している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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