過去最大のWindowsからLinuxへの移行となる、独ミュンヘン市の1万4000台のデスクトップ切替作業が、法律問題が解決するまで一時凍結されている。
この切替作業は、EUの法律によってミュンヘン市に特許上の大きな問題が生じるおそれがあることから、一時的に中断されている。Linux支持派の市議会議員で、緑の党所属のJens Muehlhausが、50件の特許問題が生じるおそれがあると指摘。これを受け、問題が解決されるまで移行作業は保留されることになった。
特許上の問題によって、ミュンヘン市は追加ライセンス料を支払ったり、さらには同市のITシステムを停止を余儀なくされる可能性があり、そのため来週に予定されていた「LiMux project」への入札募集は中止となった。
オープンソース提唱者のBruce Perensは米国時間4日、この中止は実際には政治的な理由によるもので、緑の党はこの問題を利用して、ヨーロッパの新特許法に対する政府の支持を覆そうとしているのだと述べている。
Perensは、サンフランシスコで開催中の「LinuxWorld Conference and Expo」での講演で、「これはやや政治的な事がらだ」と発言。「ちょっと芝居がかったやり方。彼らは政治的な主張を行なうために、移行作業を遅らせている」(Perens)
Open Source Risk Management Associationによると、Linuxは283件の特許を侵害している可能性があるという。また最近Hewlett-Packardから流出したメモには、「Microsoftは基本的に、法制度を利用してオープンソースソフトウェアを禁止しようとしている」と記されていた。
しかしミュンヘン市は切替の決定を覆しておらず、保留は一時的なものだと主張している。同市はLinuxへの移行を決定する前に、IBMと、Novellが所有するSuSEの協力を得て、1年間にわたって実現可能性を確かめる調査を行っていた。
同市のOS移行契約は重大な出来事と考えられ、Microsoftの最高経営責任者(CEO)Steve Ballmerも、個人的にミュンヘン市長を説得しようとしたことがある。
WindowsからLinuxへの移行を決定した公共機関は、ミュンヘン市が最初で、先月にはノルウェーの都市ベルゲンもこれに続いている。オーストリアのウィーンも移行を検討しているが、同市は先ごろ、来年半数のユーザーに対して、オープンソースかWindowsかを選択する機会を与え、2006年に評価を行なうことを決定している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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