サンフランシスコ発--Linuxソフトウェアやオープンソースソフトウェアの普及は必然的な流れに違いないが、この新しいプログラム開発手法は、デジタル権利管理(DRM)という新しい重要なテクノロジーとぶつかることになると、Hewlett-Packard(HP)のLinux最高責任者が米国時間3日に語った。
デジタル権利管理技術は、音楽や映画のようなプロプライエタリなコンテンツを暗号化し、不正なコピーを防止するものだ。しかし、その用途は、単にエンターテインメント分野にとどまらない。将来は、機密文書や他のビジネス関連情報もDRMで管理するようになると、HPのLinux担当バイスプレジデント、Martin Finkは、当地で開催中の「LinuxWorld Conference & Expo」の基調講演で語った。
Finkによれば、このDRMの導入が進むと、Linuxやオープンソースソフトウェアが締め出されることになりかねないという。「残念なことに、DRMとオープンソースソフトウェアは今日相容れない状態にある。デジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act:DMCA)で、著作権法の適用範囲が拡大されたためだ」(Fink)
実際、オープンソースソフトウェアとDRMとの緊張関係は、訴訟にまで発展したが、これはDVDソフトを解読するコードをLinuxがサポートしていたことによる。このDMCA問題を解決するには、最終的に法律を改正するためにロビー活動を行う必要があるとFinkは述べたが、一部の下院議員はすでに同法の改正を提案している。
HPがこの問題を懸念するのには理由がある。同社は、Linux関連の主要なハードウェアベンダの座を狙う一方で、デジタルコンテンツの制作、配信、消費に関わる陣営にとっても重要なパートナーになりたいと考えているからだ。
Finkは、Microsoftという具体名こそ挙げなかったが、同社がDRMを梃子に使って優勢な立場にたてば、オープンソースソフトウェアがその犠牲になる可能性がある、とほのめかしたかったようだ。「あらゆる形のデジタルメディアを保護する必要はあるが、オープンなソフトウェアがこの環境に参加できるようにすることも重要だ。われわれがここで失敗すれば、1つの企業が事実上すべてのドキュメントをコントロールするような環境をつくり出してしまう」(Fink)
Finkはまた、ライセンスの種類があまりにも多すぎるという、オープンソースに関する別の批判にも触れた。Linuxを管理するGeneral Public License(GPL)のようなライセンスは広く普及しているものの、それ以外にあまり使われていないライセンスが数十種類もある。
先週Open Source Development Labsのミーティングに出席したFinkによると、現在オープンソース関連で52種類のライセンスがあり、さらに3つのライセンスがまもなく登場することになりそうだという。
「これほど多くのライセンスがあっても、何の価値もなく、ただ混乱を招くだけだ。新しいライセンスを作ろうとしているベンダがいれば、いますぐ計画を中止してほしい。そして、私に電話して、新しいライセンスが必要な理由を説明して欲しい」と同氏は述べた。「私は1週間に3つから5つのオープンソースプロジェクトや新たなコントリビューションを承認しているが、それでも新しいライセンスを必要としたことはない」と同氏は付け加えた。
このようにさまざまな課題があるにもかかわらず、Linuxやオープンソースソフトウェアはさらに普及するだろうとFinkは述べた。
Linuxサーバの売上は、2008年には97億ドルに達すると予想されており、Linix OSは他の多くの機器にも浸透していくとFinkは語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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