Advanced Micro Devices(AMD)は6月24日、東京にある日本AMDの本社内に技術研究所を開設したと発表した。施設名はAMD JEL(Japan Engineering Lab.)。ノートPCを製造する国内メーカーとAMDの架け橋と位置付け、顧客の要望をプロセッサ開発に反映させる役割を担う。
JELではノートPCメーカーのニーズを拾いながら、モバイル向けの次世代プロセッサに求められる技術要件の研究などを行う。今後1年半の間に15〜20人のエンジニアを採用する予定で、サーマル関連やシリコン設計の専門家を募集するとしている。
AMDディレクタのサム・ローガン氏によると、JELの設立はAMDが本気でモバイル分野に取り組んだことの証だという。「今まで開発の最優先に置かれていたのはデスクトップPC向けの高性能プロセッサであり、モバイルプロセッサはデスクトップPC用プロセッサをチューニングしたものでしかなかった。しかし今ではモバイル専用プロセッサの開発が必要だと気付いた。デザイン戦略の変更があったということだ」(ローガン氏)
ノートPC市場は現在、世界中で急速に成長している。Gartner Dataquestの調査によれば、同市場は2003年から2008年にかけて年平均16.5%で成長するという。これはデスクトップPC市場の成長率の3倍以上にあたる。なかでも日本はノートPCが市場の55%を占めるなど世界の先端を走っており、今後ノートPC市場でAMDがシェアを拡大するためには日本企業との協業が欠かせないと判断した模様だ。
なかでもJELがターゲットとするのは、重さが1.8〜2.7kg、厚さ30mm〜37mmの薄型軽量型だ。国内ではさらに薄くて軽いサブノート市場も伸びてきているが、AMDエグゼクティブバイスプレジデントのダーク・マイヤー氏によるとサブノート向けプロセッサの投入は2006年以降になるという。
AMDコーポレイトバイスプレジデント 兼 日本AMD 代表取締役社長の堺和夫氏 |
AMDは2003年にx86アーキテクチャの64ビットプロセッサのOpteronを市場に投入し、業績を大きく伸ばしている。ライバルのIntelが出した64ビットプロセッサのItanium 2と異なり、32ビット用のソフトウェアも動かせることをPCベンダーが歓迎したためだ。
AMDコーポレイトバイスプレジデント 兼 日本AMD 代表取締役社長の堺和夫氏は「AMDはCPU業界のリーダーとなった」と断言。Intelが64ビット対応x86チップのNocona(開発コード名)を発表することについても「ライバル企業もAMDのまねをするようになった」(堺氏)と余裕の表情を浮かべた。
AMDでは今後、x86アーキテクチャをデジタル家電分野にまで広げる考えだという。2003年にAMDはNational Semiconductorからインフォメーション・アプライアンスを買収し、組み込み用プロセッサのGeodeをラインナップに加えている。JELではGeodeに関しても開発を進めていくとしている。
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