Intelが次に変えるのはどの市場か、との質問に対して、専門家らはストレージだと答えている。
Intelは、サーバコンピュータを設計し、また重要な部品の組み立てを手掛けるなどして、各メーカー--その多くはほとんど無名のメーカーが大量のローエンドマシンを生み出すのに力を貸してきた。それと同じやり方で、同社は今、ストレージディスクアレーの「ホワイトボックス」市場に進出し、その成長を加速させようとしている、と調査会社Illuminataのアナリスト、David Freundが指摘している。
Freundは最近の報告書の中で、「すでにコモディティ化したサーバと同様に、いまやストレージもコモディティとなりつつある」と述べ、さらに「Intelは種を撒くと同時に、将来の収穫の計画も立てている」と付け加えている。
Intelはすでに、ストレージシステム向けのさまざまな半導体製品を開発している。だが、同社は現在こうした取り組みを統合して、より包括的なものとすることで、各メーカーが独自に行なうシステム開発上の負担を軽減しようとしている。
Intelはある提携企業と協力し、ストレージ機能の一部をプロセッサチップに統合しようとしている。これが実現すれば、ストレージの高速化と低コスト化が可能になる。今年はじめに開催した展示会で、Intelは低価格ストレージシステムのプロトタイプを公開し、そのデモを行なった。また、同社はこれまでに数多くのストレージ関連企業に投資してきており、さらにストレージ関連のいくつかの部門で進める作業について調整を始めていると、IntelのSeth Bobroff(ネットワーキング/ストレージグループのマーケティングプログラム/コミュニケーション担当ディレクター)は述べている。
「(ストレージは)絶対的に重要な分野であり、今後のさらなる成長を見込んでいる」とBobroffは述べ、さらに「われわれは(同分野に)ビジネスチャンスがあると見ており、一体となって開発に取り組んでいる」と語った。
Intelによるこの動きが、やがてストレージ業界に大きな影響を与える可能性がある。小規模のPC/サーバメーカーは、Intelが開発した基礎技術や設計を利用して独自のストレージシステムをつくり、これを販売し始めている。反対に、EMCなどの大手ストレージ企業では、中小企業をターゲットとした計画について危機感を抱く可能性がある。
Intelは、ストレージ関連売上の具体的な数字や、ホワイトボックス・ストレージシステムに関する具体的な計画については明言を避けたが、Bobroffは、同社がローエンドストレージ市場を後押ししようとしていることをほのめかした。Bobroffは、同社がストレージ製品に関しては、その「生態系」を形づくる各企業と連携していきたいと考えていると述べた上で、仮にエコシステムが動かなければ、同社は自ら「(生態系を)動かすにはどうすればいいか」を考えると付け加えた。
業界の統計によると、データ保持に関する政府規制や音楽のようなコンテンツのデジタル化の急増といった要因によって、ストレージ機器に対する需要は一層高まっているという。調査会社IDCによると、2004年第1四半期に世界で出荷されたディスクストレージシステムの総容量は、前年同期比39.4%増の247ペタバイト(1ペタバイト=約100万ギガバイト)だった。
一方、ディスクストレージシステムの売上の伸びは、低価格化の影響で容量に比べはるかに鈍い。IDCによると、2004年第1四半期のディスクストレージシステムの総売上は、前年同期比3.5%増の51億ドルだったという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス