Linuxベンダー最大手のRed Hatは4日(米国時間)、同社で初めてのデスクトップ版オープンソースOSを発表した。創立から10年めにあたる同社は、これにより自社の歴史に新たな1章を加え、同時にMicrosoftとの戦いにおいても新しい局面を迎えることになる。
これまでRed Hatが主にターゲットとしていたのは、サーバ用のUnixだった。しかし、今回同社は「Red Hat Desktop」を投入し、Microsoftおよび同社のWindowsに直接戦いを挑むことになる。
Red Hatは当初デスクトップ市場全体は相手にせず、代わりに従業員がワープロやウェブアクセスなどの基本的なコンピュータ機能だけを必要とする企業を狙っていく。だが、同社はさらに大きな野望を抱いている。
「壮大な野心はあるが、最初からあまり大きな期待は持たれないようにする」と同社CEOのMatthew Szulikはインタビューのなかで述べている。「これから12〜18カ月の間は、エンタープライズ、政府、学術向けの各市場で立派な結果を残せるよう、重点的に取り組んでいく」(Szulik)
Red Hatは、このデスクトップ版OSを同社のサーバ製品と同じように、年間サブスクリプション形式で提供する。また、同製品にはRed Hat Networkを介したサポートとソフトウェアアップデートも含まれる。しかし、1ユーザーごとのバラ売りは行わず、PC50台ごとに年額3500ドルの料金でライセンス提供する。これは、PC1台あたり年間約70ドルに相当する金額だ。
Linuxはここ数年で広く利用されるようになってきており、全ての大手サーバハードウェアベンダーやソフトウェアベンダーがこれをサポートしている。しかし、デスクトップ市場に食い込むのは難しいだろうとアナリストらは考えている。
調査会社IDCのアナリストAl Gillenによると、データが入手可能な最新の年度にあたる2002年のデスクトップ市場で、Linuxは2.6%のシェアを占めたが、これに対してWindowsは93%だったという。
Red Hatはサブスクリプション形式でライセンスを提供するため、価格を比較するのは難しい。だが、Windows XP Professionalの店頭価格は299ドルだ。また、Red Hatの最大のライバルであるNovellもデスクトップ向けLinuxを提供しているが、こちらの価格は1製品あたり90ドルで、ビジネスユーザー向けの5ユーザーエディションは598ドルとなっている。おそらく、Red Hatに最も近い販売アプローチをとるのがSun Microsystemsで、同社はSuSE Linuxベースの「Java Desktop System」を、1従業員当たり年間100ドルで提供する(ただし、6月2日まで、ディスカウント価格の50ドルで提供している)。
Red Hatは、追加料金1万ドルで「Red Hat Network Satellite Server」も提供する。このソフトウェアを使うことで、企業はPCを集中管理することができ、ソフトウェアのアップデートも独自の設定で配信できるようになる。Szulikによると、この追加サービスにはサーバ向けのRed Hat Enterprise Linuxも含まれるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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