米特許商標庁は先月、注目を集めるブラウザ特許訴訟で、Microsoftにとっては有利に働く予備事実認定を行った。それは、同社が5億2100万ドルの損害賠償を命じられる元となったEolas Technologiesの特許自体に、そもそも誤って認可された可能性があるとの内容だった。
Microsoftはこの事実認定を、自社側の勝利としてすかさず宣伝し始めた。この事実認定により、同社は多額の金を節約できる上、Internet Explorerブラウザの一部を書き直さずに済む可能性もある。標準化団体「World Wide Web Consortium」(W3C)もMicrosoftに加勢し、同社が敗訴すれば、何百万ものウェブページに大混乱を引き起こすことになるだろうと主張していた。
しかし、法律の専門家らは、Microsoftに有利な先月の予備事実認定は、今後数年は続くと見られるプロセスがまだ始まったばかりの段階で出されたものであり、最終的な事実認定には程遠いと述べている。
「Internet Patent News Service」の編集者兼発行人で、米特許商標庁の批判者として有名なGreg Aharonianは、次のように述べている。「長期的に見れば、大した違いではない。おそらくこの問題は、先々どこかの時点で控訴裁の法廷に持ち込まれ、そこで決着がつくことになるだろう。現段階ではあらゆる事がらの可能性が五分五分なので、結果を予想することはできない」
Microsoft対Eolasの訴訟がいかなる結果に落ち着くにせよ、今は、これまであまり知られていなかった米特許商標庁の再調査手続きに注目が集まっている。この手続きでは、ときに特許商標庁が特許認定を覆したり、訂正したりする場合がある。このような局長命令の再調査が行なわれたのは特許商標庁発足以来わずか159回で、再調査されたケースの87%では、争点となった特許に少なくとも何らかの変更が加えられている。
Microsoftには縁起の良い話だが、再調査プロセスを細かく見ていくと、Microsoft側にもEolas側にも、それぞれ利点と危険が存在することが分かってくる。
米連邦裁は、Microsoftが一般に利用されているブラウザのプラグインに関して、カリフォルニア大学とEolasが共同で保有する特許権を侵害しているという判決を下した。この判決を受けて、MicrosoftとW3Cは昨秋、通常はあまり行われない特許の再調査を申請した。連邦裁の判決が有効となればMicrosoftや他のウェブソフトウェア開発会社は、ブラウザのウィンドウから他のアプリケーション(たとえば、MacromediaのFlashアニメーションソフトウェアなど)を起動するために、特許使用料を払わねばならなくなる。Microsoft側の弁護士らは、特許商標庁が再調査を開始する以前から控訴準備を進めており、特許商標庁の再調査の結果この特許が有効とされれば、控訴のプロセスが再開される可能性がある。
先月25日に、特許商標庁のAndrew Caldwell調査官は、Microsoftらの再調査申請の前提とされていたある事実を支持する予備事実認定を発表した。それは、プラグイン特許を無効とする可能性がある「先行技術」が実際に存在した、ということだった。
この発表で、今度はカリフォルニア大学とEolasとが自らの特許件所有を弁護する立場に立たされた。それでも両者は、このための書類提出に2カ月の期間が与えられており、またCaldwellの予備事実認定は結局認められないだろうと自信をのぞかせた。
「これはまだ決定事項ではなく、最終的な同庁の行為でもない」とEolasのMike Doyleは2月のに提出した書類のなかで述べている。「これは特許保有者と特許商標庁との対話の第一歩に過ぎない。特許所有者が、それまでに提出されていた主張を行うのはよくあることで、いわばそれは議論の叩き台だ」(Doyle)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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