IBMは23日(米国時間)、同社のBlue Gene/Lスーパーコンピュータで2台めとなるシステムを、オランダの電波望遠鏡プロジェクトに納入するとの発表を行う。
このスーパーコンピュータは、オランダのAstronという組織が運営する新電波望遠鏡プロジェクト「Lofar」(「low frequency array」の略)で使用される。2005年に完成予定のこのシステムには、1万2000個のプロセッサが搭載され、1秒間に30兆回以上の演算が可能だという。オペレーティングシステム(OS)はLinuxになると、この計画に詳しい情報筋は述べている。
現在最速のマシンは、NECが2002年に構築したEarth Simulatorで、1秒間に35兆6000億回の演算が行なえる。しかし、ここにきて、Blue Gene/Lや他の複数のシステムがスーパーコンピューティング性能ランキング上位にランクインするなど、新たな競争相手が追い上げを見せている。
スーパーコンピュータ性能ランキングに新たにランクインした他の新システムには、IBMのPowerPC 970チップをベースとするApple Computer製デュアルプロセッサマシン1100台で構築した、バージニア工科大学のクラスタシステムや、ロスアラモス国立研究所がAdvanced Micro Devices(AMD)のOpteronプロセッサを2816基使って構築したマシンなどがある。
また、新たなチップを搭載した別のシステムもまもなく登場する。Linux Networxは19日、米陸軍研究所にXeonプロセッサを使用したシステムを販売したと発表した。このマシンに積まれた2132個のプロセッサのうち1066個は、Intelが新たに発表した64ビット「CT」拡張に対応している。CT拡張は、AMDのOpteronの拡張と同様のもので、6月までにIntelのXeon「Nocona」バージョンで登場する見込みだ。
Blue Geneは、タンパク質が複雑な3次元構造を形成する様子を調査する、バイオテクノロジーの研究プロジェクトとして開発が始まった。しかし、同社はこのところ、Blue Geneを金融リスク分析や世界の気候モデリングといったタスク向けの商品として売り込もうとしている。
1台めのBlue Gene/Lはローレンス・リバモア国立研究所に導入される予定のもので、1秒間に最高360兆回の演算(360テラフロップ)が行なえるよう設計されている。
Blue Gene/Lのプロセッサは、IBMのPowerシリーズの特殊バージョンだ。1つのチップにはデータ処理用と通信用の2つのプロセッサ「コア」があり、マシン内でデータをやりとりするためのネットワークが5種類ある。ただし、通信があまり必要でないタスクでは、両コアとも演算に利用される。
512基のデュアルコアプロセッサを搭載したあるBlue Gene/Lは、最新のスーパーコンピュータ性能トップ500ランキングで、73位にランクインしている。
Lofarのウェブサイトによると、このプロジェクトのシステムは2006年にオペレーション開始予定で、2008年にはフル稼働になるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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