RFID(Radio Frequency IDentification)は、企業が在庫管理や流通を合理化するものとして、いま熱い注目を浴びるコンセプトになっている。
しかし、RFIDを売り文句の通りに機能させたいと考えるなら、導入を考える企業は自社のソフトウェア・インフラについて見直す必要があるかもしれないと、アナリストやIT関連メーカー各社が口を揃えて指摘している。
RFIDタグは、取り付けられた商品に関する情報を伝えるチップと無線技術を組み合せ、その在処を追跡するためのものだ。これを導入すれば、商品や原材料の在庫把握が容易になるため、長い目で見て経費の削減につながる。さらに、Wal-Martをはじめとする大手小売チェーンや、Gilletteのような大手消費財メーカーが、すでに取引先の企業にRFID技術の導入を進めさせており、RFID採用の流れは避けられなくなっているようだ。
米国防総省はすでに、納入業者にRFIDを利用するよう要求すると述べている。そして2月18日(米国時間)、米政府の食品医薬品局(FDA)は、製薬会社や、医薬品の卸売業者と小売業者に対して、RFID採用を促す文書を発表した。同局の声明によると、この技術は「医薬品のサプライチェーンを安全にするために必要なもの」だという。
RFIDの採用に対しては、当初人権擁護団体からの抵抗が見られた。彼らは、この技術の普及が前例のない消費者の監視につながる可能性があるとして、業者による導入を恐れていた。だが、業界の観測筋やITベンダー各社は、RFIDを導入する企業は、もっとありふれた問題を抱える可能性があると指摘している。彼らは、企業がRFID導入プロジェクトを性急に立ち上げるなかで、この技術の円滑な運用に必要とされる、ある重要な要素を見落とす可能性がある、と警告を発している。その要素とは、バックエンドのデータベースやビジネスアプリケーションが、RFIDを動かすシステムによって生成される膨大な量の情報を確実に扱えるようにする、ということだ。
「企業がRFIDを導入しても、それを支えるインフラがしっかりしたものでないと、問題を抱え込むことになるだろう」と、AMR ResearchのアナリストKara Romanowは指摘する。「RFIDシステムをきちんと運用し、しっかりと投資を回収するためには、まず初めにデータの同期に関する取り組みを完了しておく必要がある」(Romanow)
データの同期とは、社内にあるバラバラのデータベース--しかも、いろいろなメーカーの製品を使っていることがよくある--が、「共通の言葉」を話すようにしておくことを指す。たとえば、ある出荷コストを計算したデータが、あるデータベースではユーロ建てになっているのに、別のDBではドル建てという場合がある。「データ同期は、RFIDを導入する企業が自らの手でやらなければならない大変な作業で、特にデータ自体を変更したり、データを合理化する場合には、この作業を行っておかなくてはならない」(Romanow)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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