米Gartner グループバイスプレジデントのクレイグ・ベイティ氏は2月18日、都内で開催されたガートナー・コンファレンス「アウトソーシング2004」にて講演を行い、ITサービスの市場予測について講演した。
ITサービス市場とは、ハードウェアやソフトウェアの保守サービスのほか、コンサルティングや開発・インテグレーション、アウトソーシング、プロセスマネジメントなどを含んだものだ。
ガートナーの調査によると、2002年におけるITサービスの世界市場規模は5360億ドル。今後2007年までに年平均5.7%の伸びを見せ、2007年には7000億ドルを越えるとガートナーでは予測している。2002年における日本の市場規模は652.1億ドルだが、2007年までの年平均成長率は7.3%にのぼるという。
Gartner グループバイスプレジデントのクレイグ・ベイティ氏 | |
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ベイティ氏は日本の年間平均成長率が世界平均よりも高いと指摘した上で、このことが日本のITベンダーに脅威をもたらすと語る。それは、日本市場に対する海外企業の関心が高まるためだ。現在、日本市場では国産ベンダーの力が強く、上位10社のうち外資系企業はIBM、HP、日本ユニシスの3社しかない。海外企業はここに参入機会があるとみており、欧米のほか、中国やインドの企業も日本市場への参入を狙っているという。「日本企業はこの動きを過小評価してはいけない」(ベイティ氏)
ただし、日本企業にはチャンスもあるとベイティ氏は話す。それは欧米やアジア太平洋地域への参入だ。特に中国の年平均成長率は約15%と、大幅な伸びを見せている。「日本企業は地理的にアジアに近く、スキルもある。ここに成長の余地がある」(ベイティ氏)
ユーティリティコンピューティングの普及は2〜5年後
続いてベイティ氏は、ITサービス業界における今後のトレンドについて紹介した。今後成長が期待される分野として挙げられたのは、ユーティリティコンピューティングと呼ばれる分野だ。
ユーティリティコンピューティングとは、従来のようにハードウェアやソフトウェアを購入するのではなく、水道のように使った分だけを支払う手法。ベイティ氏は、新しく登場した技術に対する市場の期待値の変化を表した「ハイプ曲線」を示しながら、ITユーティリティは現在、過度な期待を集めている段階にあると語る。年内にはいわゆる幻滅期が到来し、安定期に入るには2年から5年程度かかると予測した。
アウトソーシング分野については、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)が伸びるとベイティ氏は見る。これは金融や人事など、顧客の業務の一部を請け負うものだ。2002年から2007年までの年平均成長率は9.1%という。この分野は25〜40%と高いマージンを得られるが、経験や知識が必要になるため参入障壁が高いという。この分野に参入する企業はコンサルティングスキルを獲得し、高付加価値のBPOを提供するべきだとした。
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