Intelは、今週ISSCC(International Solid State Circuits Conference)で研究発表を行う予定だが、そのなかで数年後にはコンピュータの内部がどうなっているかを垣間見せてくれそうだ。
Intelの研究者らは、今週サンフランシスコで開かれるISSCCにおいていくつかの論文を発表するが、このなかには32/64ビットコードの両方を動かせる、低消費電力で高速な演算論理回路(ALU)について説明したものがある。仮にこのALUを利用できれば、同社は32ビットと64ビットの両方を動かすことが可能な、Pentiumクラスのチップをつくれるようになる。ALUとは、少数演算の代わりに整数演算をこなす装置のことだ。
別の論文では、PC内部で使用されているいくつかの接続方式を数年内に置き換えるような、パラレルベースで8Gbit/秒のデータ通信を実現するI/Oプロトコルの概要が示されている。現行のパラレル接続による通信方式は、これよりもずっと遅い。3つめの論文は、メモリメーカーのSamsungおよびInfineonと共同で提出したもので、PC内部のメモリの接続方法を変更し、データ転送を高速化することについて説明している。
さらに別の論文では、Intelがどのようにしてシリコンから高速なオシレータ(発振器)を作り出したのかについて詳細を述べている。オシレータは無線用の重要なコンポーネントだ。ふつうオシレータは、リン化インジウムのような珍しい素材から作られる。Intelは2005年までにシリコンベースの無線装置を製造し、また最終的には、異なる帯域間をまたいで利用可能な無線装置を製造したいと考えているという(同社通信回路研究担当のディレクタ、Krishnamurthy Soumyanath)
Intelで回路研究のディレクタを務めるShekhar Borkarによると、これらの発明がそのまま将来製品として具体化される保証はないという。だが、これまで同会議で論文が発表された発明やアイデアには、数年で市場に投入されたものも多くある。
今回発表となるALUは、32ビットモードで7GHz、64ビットモードでは4GHz以上で動作する。Intelの既存のALUと比べて、このALUのプロトタイプはパフォーマンスが20%上回り、また消費電力は56%低減できるとIntelのBorkarは説明する。Pentium 4製品では、ALUはチップの2倍のスピードで動作していることから、今回発表のALUは3.5GHzで動作するPentium 4型チップに組み込めるものとなる。
90nmプロセスで製造されるこのALUは(64ビット用に書かれたソフトウェアを動かすために)Pentiumクラスのチップに導入することも、あるいはItaniumチップに導入して標準的な32ビットのWindowsソフトの動作を改善することにも利用できるという。同社はいくつかの違ったALUについて検討を進めていると、同社に近い情報筋は述べている。Borkarは製品計画についてはコメントを控えたが、このALUが次世代のPentium型チップに搭載される可能性もあると語った。
ALUはプロセッサの処理性能を向上させるものだが、一方メモリに関する論文では、コンピュータ内でよくボトルネックとなることの多い問題を解決する方法が述べられている。その問題とはメモリのI/Oだ。
Intel、Samsung、Infineonが共同で行う発表では、メモリは3.5Gbit/秒でデータをやりとりする。これにより、メモリのなかに保存されたデータはさらに高速に移動できるようになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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