インフォテリアは2月3日、同社のこれまでの業績や2004年度における事業戦略について記者説明会を行った。2004年は海外にてAsteria英語版の出荷を予定しているインフォテリアだが、同社代表取締役社長の平野洋一郎氏は、「ソフトウェア業界で100億円ビジネスに成長することができた企業は、世間に何らかの貢献ができたという実績を残していることが多い。インフォテリアは新技術とアイデアを生み出しつつ、2010年にはこのレベルに達したい」と語った。
平野氏はまず、2003年に同社が達成したことについて説明した。同氏は、Asteriaを採用する企業は1年前の20社から70社にまで増加したと述べ、「2005年1月には、この数字を最低でも150社にまで伸ばしたい」としている。実際、webMethods、Microsoft BizTalk、Appresso DataSpiderといった競合製品と比べた場合、Asteriaが選ばれる率は80%以上にのぼると平野氏は語る。
ただ、これら競合製品に対する勝率は高いものの、実は「パッケージ商品を購入するには初期投資が必要なため、自社でコーディングする場合が多いのも事実」と平野氏は述べ、「一番の競合は“企業内での作り込み”だ」と語る。しかしこのような社内での作り込みは、初期コストは低くて済むものの、「長年にわたって使用する場合や変更を加えたりする場合の管理が困難となる。やはり長期的に考えるとパッケージを使ったほうが安価で楽な選択だ」とアピールする。
コーポレートカラーであるグリーンのシャツとネクタイに身を包んだインフォテリア代表取締役社長の平野洋一郎氏 | |
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2003年は、Asteriaの汎用用途が急増した年でもあったと平野氏は語る。元々AsteriaはRosettaNetなどの特定プロトコルに向けた製品としてスタートしたが、昨年は「Asteriaの多様性や機能性が認められてきたためか、汎用分野でのAsteriaの実績が2003年12月末の段階で前年の3倍近い伸びを示した」という。第4四半期の予想も計算に入れると、この1年で同分野の実績は4倍近いものになると同社では予測している。
2004年のインフォテリアは?
平野氏によると、2004年は昨年提言したSLiM(システムのライフサイクルを管理することでTCO削減を目指すというコンセプト)をさらに強化し、複数サーバの連携や管理を実現すべく、製品を大規模運用向けに対応させるという。また、汎用用途で業績を伸ばしている同社だが、特定分野の市場に向けたバーティカルな展開も予定しているという。すでに新聞業界でのデファクトスタンダードとなりつつあるニュース配信のためのXML仕様であるNewsMLや、銀行決済を行うための取引仕様FDXS(Financial Data eXchange Standard)に加え、財務諸表のXML標準であるXBRLや旅行業界に向けたTravelXMLなども浸透させていきたいとしている。さらに同社は、メールベースのリッチクライアントである新製品MIST(製品コード名)も今年中には発表したいとしている。
同社はまた、Asteriaソリューションパートナーとしている15社のパートナーへの支援を強化し、顧客に対するコンサルティングやソリューションをパートナーに任せる方向でビジネスを拡大していくという。さらに、Asteria技術者の育成にも力を入れ、これまで一部の顧客に対して提供していたAsteria教育コースを一般向けに定期的に開催することに加え、ウェブ上から自習キットを入手可能にするとしている。同社は、2002年10月より始まったXML技術者認定制度であるXMLマスターの事務局ともなっているが、今年より世界121カ国4000拠点での資格試験もスタートし、すでに海外でのXMLマスター合格者第1号も誕生したという。
平野氏は、「2004年のポリシーは、Grow(成長)、Realistic(現実的)、Innovate(革新)、Profitable(利益)だ」と語る。「成長のためには革新的な技術が必要となる。ここまでがベンチャーの創業期の姿だが、今年はさらに現実的になって、利益を出すということにも注力していきたい」と平野氏述べ、「利益が出るということは、単にお金が儲かるという意味ではなく、製品が世の中に認められたという証拠だ」という。同氏によるとインフォテリアは、今年中には利益を出せる体制に持って行けるとしており、今後も革新を続けつつ、IPOを視野に入れた成長を続けていく計画のようだ。
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