ニューヨーク発--Linux市場を支配するRed Hatに対抗すべく、ディストリビュータ4社が設立したコンソーシアムUnitedLinuxが瀕死の状態にある。
「法律上ではまだ存在するが、私は手を引いた」と、UnitedLinux前ゼネラルマネージャーPaula Hunterは米国時間22日、LinuxWorld Conference and Expoでのインタビューで語った。Hunterは現在、Linuxの共同開発に向けるエネルギーを新たな仕事に注いでいるが、その仕事とはOpen Source Development Labs(OSDL)の東海岸におけるビジネス開発担当ディレクターだ。
UnitedLinuxの閉鎖は、多くのハードウェアおよびソフトウェアのパートナー企業を引き込み、Linuxを標準化し、研究開発を促進するという、意欲的な試みの終焉を告げるものだ。その一方で、UnitedLinuxが成し遂げられなかった試みを成功させているのがOSDLだ。OSDLは、Linux業界におけるより中立的な連合団体で、Linuxの生みの親であるLinus Torvaldsの雇用主でもある。
「UnitedLinuxで我々がやりたかったことを実現したのがOSDLだ。OSDLには既に、ソフトウェアおよびハードウェア企業やエンドユーザといった業界パートナーが参加している。」(Hunter)
UnitedLinux崩壊の引き金となったのは、Linuxをめぐる劇的な環境の変化だ。UnitedLinuxにとっての最大の打撃は、創設メンバーである米SCO Group(旧Caldera International)がLinuxビジネスをやめ、代わりにIBMを提訴し、またLinuxが同社の所有するUnixの知的所有権を侵害しているとして、Linuxユーザーに対してライセンス料を自社に支払うよう主張したことだ。
だが、SCOはUnitedLinuxからの脱退を拒否。「SCOがUnitedLinuxのメンバーに残る限り、我々が新しいプロジェクトを遂行することは不可能だ」(Hunter)
Linuxをめぐる環境の変化は、SCOのLinux政策の転換だけではない。UnitedLinuxを結成する4社が共有するソフトウェアの基礎を提供したのはSuSE Linuxだが、同社もNovellに買収されてしまった。また、この買収で、Linuxの最大の支持者であるIBMが、Novellに対して5000万ドルを出資する予定だ。
SuSEの社長Richard Seibtは21日、UnitedLinuxのメンバーであるブラジルのConectivaと日本のTurbolinuxの2社とは今度も協力を続けていくと述べた。
IlluminataのアナリストGordon Haffは、UnitedLinuxの陰が薄れるはよいことだと述べている。SuSEは、独自にRed Hatへ対抗できるだけの力を付けたため、UnitedLinuxはもはや単なる目障りなものでしかないと同氏は説明した。
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