ニューヨーク発--SuSEを買収してLinux支持派に転向したNovellは21日(米国時間)、オープンソースプログラミングを強力にサポートしていくと宣言した。だが同社では、オープンソースソフトと自社のプロプライエタリなアプリケーションとを共存させる現実的なアプローチを採るとも語った。
Novellの最高経営責任者(CEO)Jack Messmanは、ニューヨークで開催中の「LinuxWorld Conference and Expo」の基調演説で、「(オープンソースか、それともプロプライエタリかという)宗教戦争のレベルを超えて、さらに先へ進むことが重要だと思う。オープンソースソフトとプロプライエタリのソフトは、どちらもしばらくは共存できるし、共存しなければならない。両者の共存は良いことだ、決して悪いことではない」と述べた。
Novellのバイスチェアマン、Chris Stoneによると、同社はGroupWise電子メールサーバ製品など自社製品のソースコードを公開する予定はないという。しかし同社は、オープンソースの開発者らと協力を進めていく計画であり、またオープンソースの流れは、Linuxのような、今日の基盤となるソフトウェアから、さらに上位レベルのソフトウェアまで拡大していくと述べている。
「オープンソースのソフトウェア開発の取り組みは、さらに上位レベルの領域に拡大しつつあり、現在プロプライエタリな製品が使われている分野でも、いずれはオープンソースのものが利用されるようになる。ならば、オープンソースの開発者が、そうした上位レベルのソフトを一から開発するよりも、我々が(オープンソースソフトウェアに)貢献するほうが合理的だ」と、Messmanは基調演説後の記者会見で語った。
同社がオープンソース陣営の人々に向けてこうした立場を表明したのは、今回が初めてだ。1990年代に自社のNetWareオペレーティングシステム(OS)がMicrosoft製品に敗北を喫した経験がある同社は、2003年からLinuxを積極的に採り入れる方向にシフトしてきた。
Novellは今月、2億1000万ドルを投じたSuSEの買収を完了し、Linux市場への進出を果たした。また2003年には、デスクトップコンピュータ用Linuxソフトウェア専門メーカーのXimianも買収している。Ximianは、MicrosoftのExchangeサーバソフトウェアから電子メールやアドレス帳、スケジュール帳などの情報を取り出すコネクタソフトウェアなどを開発している。
IBMは、NovellによるSuSEの買収を強く支持し、買収完了時にはNovellに5000万ドルを投資すると約束していた。SuSEはIBMの全サーバ製品を初めてサポートしたLinuxディストリビュータだ。IBMは、ローエンドのものからメインフレームまでさまざまなサーバ製品を取り揃えており、これをすべてサポートすることは、Linuxが最も普及しているIntelプロセッサベースのシステムの場合よりも難しい。
Messmanの発言には、オープンソースソフトウェアを採り入れることの文化的な難しさも現れているが、これは他の企業でも早晩立ち向かわざるを得ない問題だと、Messmanは考えている。
Novellには、かつて「自前主義症候群」("not-invented-here syndrome")の悪い部分が見られ、自社開発以外の技術は相手にしないといったところがあったため、皆が協力して開発を進めるオープンソースのプログラミング手法が機能しているという現実を受け入れるのは困難だった、とMessmanは説明している。
「Novellはプロプライエタリなソフトウェアを開発する企業だったため、Linuxへの移行に際して大変な変化が必要だった。プロプライエタリの場合は、同じ建物のなかで働く仲間とソフトを開発していればよかったが、オープンソースでは、顔を合わせたこともない、もしかしたら何千マイルも離れたところにいるかもしれない相手と協力して作業を進めなくてはならない。この変化はとても大きい」(Messman)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」