米Intelは、Itanium搭載サーバの価格の高さが普及の妨げにならないようにと、同チップの値下げを検討している。これがうまくいけば、数年先にはItaniumが同社サーバ向けチップの主力製品になるはずだ。
Intelのサーバ製品グループ・シニアバイスプレジデント、Mike Fisterによれば、同社は2007年までに、Itanium搭載サーバの価格がXeonチップ搭載の類似マシンと同等になるように、チップセットや他のさまざまな製品/技術の開発に取り組んでいるという。
Itaniumは、Xeonに比べ、高い性能を発揮するため、かなりの開きがある現行の価格差を解消できれば、ItaniumがIntelの主要サーバ製品になる可能性がある。この戦略がうまくいけば、Intelは2006年以降、Xeonを段階的に廃止できる。
「Itaniumおよび我が社の64ビットテクノロジーが、とても強力になり、あと数年もするとXeonを不要にしてしまうという予想もある。そうなれば、ハイエンドのサーバにItaniumを搭載しているメーカーが、ローエンドのシステムでも同チップを利用できるようになる」(Fister)
しかし、Xeonは今後も強みを発揮し続け、Itaniumと共存していくだろうと同氏は付け加えた。
Intelは、Itaniumの価格の引き下げに取り組むことで、同製品の先行きに対する疑念を、一部は払拭できるかもしれない。Itaniumは64ビットチップで、XeonやPentiumのような32ビットチップに比べ、はるかに多くのデータをメモリから引き出すことができる。しかし、同チップは専用に設計されたソフトウェアしか実行できず、またそうしたソフトの数も比較的少ない。
現在まで、Itaniumはほとんどの場合、4基以上のプロセッサを搭載したサーバで使われてきたが、それが販売が振るわない要因の1つとなっている。こうしたサーバは1万ドル以上で販売されているが、出荷台数は限られている。2003年に、Intelは10万台のItanium 2チップを出荷したが、何百万台も出荷されたXeonsには、はるかに及ばない。
調査会社IDCは2000年に、Itaniumサーバの売上が2004年には280億ドルに成長すると予測した。しかし、2001年になると、同社は2005年の売上予測を150億ドルに下方修正し、その年の後半にはさらに125億ドルまで引き下げた。現在IDCでは、2007年の売上を75億ドルと予想している。
販売台数の点からいうと、ほとんどのサーバは、1基もしくは2基のプロセッサを搭載したものだ。大部分のサーバは、IntelのXeonチップを採用しているが、米IBM、米Sun Microsystemsなどの製品のなかには、サーバ市場向けにAdvanced Micro Devices(AMD)が開発したOpteronチップを積んだものもある。
「Intelが価格を引き下げるという戦略をとれば、それに伴ってアプリケーションの移植を妨げる障害が取り除かれる」と、調査会社Gartnerのアナリスト、Martin Reynoldsは述べている。「Itaniumはまだ高すぎて、すべてのサーバに搭載するわけにはいかない。Intelは、現在のXeonの価格帯にまで、Itaniumの値段を下げる必要がある」(Reynolds)
IntelがItaniumの価格を引き下げるには、何通りかのやり方が考えられる。たとえば、同社は、IBMのSummitチップセットのように、ItaniumおよびXeonサーバの両方で利用できるチップセットや他の部品の開発を進めている。この方法なら、ハードウェアメーカーは設計コストを削ることができる。チップ単体では、Itaniumの値段はXeonに比べて多少高いだけだが、サーバ構築にかかる総コストは、ItaniumのほうがXeonよりもかなり高い。
Itaniumチップの廉価バージョンを導入するという手もある。昨年、IntelはXeonチップに近い価格の、Deerfield版Itaniumを初めて披露した。
ハイエンドのItaniumsも、値段が下がるだろう。現行の最上位機種は4200ドル以上するが、これはキャッシュの容量が特別大きいためだ。トップエンドのItaniumsは現在6MBのキャッシュを備えており、また2005年登場を予定しているMontecitoのキャッシュは24MBにもなる。キャッシュが大きいチップは、多くの表面積を必要とし、その分製造コストも高くなる。
Tukwilaは、これまでTanglewoodと呼ばれていたもので、2005年以降にリリース予定だが、このチップは1つのシリコン上に複数のチップコアを搭載する。Tukwilaのキャッシュは大きいが、チップコアはXeonコアに比べ小さいため、価格面で競争できるものになる。
利用できるソフトウェアが増えることも、同チップを搭載したサーバシステムの価格低下に寄与するはずだ。Intelはすでに、Oracleや他のメーカーを説得して、Itanium用にソフトウェアを移植させることになっている。現在、同社は大企業ユーザーに対して、(ソフトウェアメーカーを説得したのと同様に)、社内で稼働するソフトウェアをItanium用に書き直させようとしている。
「大企業のなかには、2000人のもの開発者を使って、特別な目的のために設計されたソフトウェアを開発しているところもいくつかある」(Fister)
さらに、Intelが近い将来、AMDのOpteronやAthlon 64に相当するような、64ビットのソフトウェアを扱えるXeonやPentiumを出すかどうかに関する憶測も、依然として飛び交っている。Reynoldsをはじめとするアナリストらは、Intelがこうしたチップの開発に取り組んでいるのはほとんど間違いないが、但しそのリリースが2004年になるのか、あるいは2005年以降になるかについては、はっきりしないと述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力