複雑なLinuxの世界をシンプルにしようという最新のプロジェクトが、2大ユーザーインターフェースの厄介な関係という障害に早くもぶつかった。
統一されたLinuxディストリビューションを作ろうという、まだ始まったばかりの計画が、Linux開発者の世界に長年横たわる溝に脅かされている。その溝とは、2大人気グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)、GnomeとKDEとの間にあるものだ。
オープンソースの権威者で、Debianディストリビューションの開発者であるBruce Perensは今月、Red Hat Advanced Serverなどの有名ディストリビューションにかかる料金なしで、標準化されたLinuxディストリビューションを企業向けに提供する「UserLinux」計画の詳細を具体化し始めた。UserLinux計画では、ソフトウェアメーカーができる限りサポートしやすくなるような、簡素化された一貫性のあるプラットフォームを提供するにあたり、 Linux Standards BaseやUnitedLinuxなどのプロジェクトの要素を借用している。
この計画が成功すれば、Linuxで利用できるアプリケーションが増え、企業向け市場でのLinux浸透に拍車がかかるだろう。Linuxで利用可能なアプリケーションが少ないことは、Linuxの普及に対する障害となってきていた。
UserLinuxのディストリビューション管理は非営利団体が担当し、営利企業がサービスや技術を提供する。現在、成功しているLinuxディストリビューションは複数あり、それぞれが若干異なっている。このため、アプリケーションメーカーは自社製品の動作保証を各ディストリビューションで行なわなければならない。
UserLinuxプロジェクトの重要なポイントの1つは、オペレーティングシステム(OS)にあるさまざまなオプションをサポートする従来のLinuxから、1つの機能だけを選ぶようになる点だ。UserLinuxは、Perensの非営利哲学を共有するDebianディストリビューションをベースに構築される。Debianでは、たとえばGnomeデスクトップソフトウェアやMySQLデータベース、Apache 2ウェブサーバ、Mozillaブラウザなどが使用されている。
Perensによると、今のところ最も対立が激しいのがGUIの選択で、プロジェクトの他の部分の進み具合に影響を及ぼしかねない状態だという。結局、PerensがKDEを統合しないという選択をしたにもかかわらず、KDE支持者陣営は先週末、UserLinuxにKDEを統合する提案を提出した。
KDEとDebianの開発者らは、「Conquering the Enterprise Desktop」(エンタープライズ デスクトップの制覇に向けて)と題する提案のなかで、KDEインターフェースをUserLinux上で機能させ、MozillaやGnomeアプリケーションなどの要素をサポートさせる計画の概略を述べている。
これに対してPerensは、KDEプロジェクトをサポートすると語ったが、しかしKDEとUserLinuxは今後もあくまで別のものとして続けられると言明した。「我々としては、彼ら(KDE)と作業を分担することには、何の問題もない。ちょうど彼らが、現在FreeDesktop.orgを通じてDebianと協力しているようにやれるだろう。だが、UserLinuxのGUIにGnomeを採用するという決定は変わらない」とPerensは声明のなかで述べている。
Gnomeを選んだ理由について、Perensは、UserLinuxにはプロプライエタリな要素を1つも入れたくないから、と説明している。KDEの開発者向けツールキットには、商用ライセンスのオプションがある。オープンソースソフトのライセンスでは、開発者はソースコードに何らかの修正を行っても、その結果を開発者コミュニティに還元する限りは、自由にコードを修正・再配布してよいことになっている。
Perensは、UserLinuxに関するアイデアを、11月にボストン大学で開かれたDesktop Linux Consortium Conferenceで初めて表明していた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」