米Oracleは3日(米国時間)、グリッドコンピューティングの研究を推進するヨーロッパの大規模な研究プロジェクトに参加することを発表した。グリッドコンピューティングとは、負荷の大きいタスクを多数のシステムに割り当てるための技術。
同社は、米Hewlett-Packard(HP)や米IBM、米Intelなどの大手企業に加わり、European Organization for Nuclear Research(CERN)が進めるOpenlab for DataGridプロジェクトを支援する。このプロジェクトでは、宇宙の起源を解明するための研究にグリッドコンピューティングの技術を活用する。
グリッドコンピューティングは、もともと学術的な領域から生まれたもので、負荷の大きいタスクを多数のハードウェアに割り当て、計算処理のためのハイエンドリソースの限界を克服するためのものである。この技術は、研究を停滞させる原因となる数学的な限界を克服し、他のタスクに取り組めるようにするために利用されてきた。
ところが近年は、IT企業がグリッドコンピューティングに関心を持つようになった。IT企業は、オンデマンドやユーティリティコンピューティングを推進させる大きな流れの一環で、コンピュータのリソースを最大限に活用するこの技術に注目している。IBMやHPなどが主要な推進企業で、IBMは、オンラインゲームや精密な工業デザイン用のプログラムなどのタスクを処理するために同技術を推進している。
Oracleは、同社の主要なデータベースソフトウェアに同技術を導入し、顧客に幅広いグリッドコンピューティング戦略の活用を推進するかたちで、今年初めにグリッドコンピューティングに参入した。
同社は、自社の製品にいち早く恩恵がもたらされることを期待し、今後3年間に渡り、CERNのプロジェクに182万ドル(150万ユーロ)を寄付する。
OracleのバイスプレジデントであるSergio Giacolettoは声明の中で、「我々が既にグリッドコンピューティングの技術を市場に導入できたのは、長年に渡るCERNとの親密な提携関係によるところが大きい。この技術が、商業目的に使われる技術のメインストリームになれば、我々も顧客もさらに恩恵を被ることになるだろう」と述べた。
このCERNのプロジェクトは、Large Hadron Collider(LHC)と呼ばれる超大型素粒子加速器を支援する目的のものである。LHCは、現在建設中であるが、世界で最大の科学施設として評価されている。LHCは、数百万の素粒子物理に関するギガバイトクラスのデータを生み出すとみられており、それら全てのデータはグリッドコンピューティングプロジェクトによって処理されることになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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