コンピュータのパワーを必要な時に、必要な分だけ利用し、利用者は使った分だけの料金を払えばよい---それは、世界の大手ITベンダー各社が唱える新たなコンピュータの世界だ。そして日本の大手ベンダーも、同じ手法で新たなビジネス開拓を狙っている。
富士通は12月3日、顧客のITリソースの利用量に応じて課金するオンデマンド型アウトソーシングサービスを開始すると発表した。すでに50社と商談を行い、20社ほどが稼働している段階だという。
顧客は富士通のデータセンター内にあるサーバ、ストレージ、ネットワークなどを利用する。サーバはPRIMEPOWER、もしくはIAサーバのPRIMERGYで、Solaris、Linux、Windowsに対応する。「富士通は今までにメインフレームを4000台とオフィスシステムを4万台出荷した実績があり、これらの経験を生かしていく」(富士通 経営執行役常務の太田幸一氏)
富士通 経営執行役常務の太田幸一氏 | |
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料金は基本料と、利用量に応じた変動費で構成される。サーバのCPU数やメモリ数、もしくはサーバ/ボード数、ストレージのディスク容量、ネットワークの帯域容量、スペース容量などに応じて料金は異なる。また、富士通では顧客とSLA(Service Level Agreement)を結び、料金に反映させるという。
太田氏によると、今回のサービスはシステムの投資を小さく始めて、様子をみながら拡張していきたい企業や、ピーク時と通常時の差が大きい企業、イベントなどで短期に利用したい場合に有効という。太田氏は、試験が行われる2月と8月だけ業務処理のためにリソースが大量に必要になる学習塾の事例を挙げ、閑散期は基本料をピーク時の8%の価格で契約することで、顧客が大幅に効率化を図れたとした。
現在すでに稼働している約20社の顧客とは、昨年から話し合いを進めていたという。顧客には学習塾の河合塾、コンビニエンスストアのサンクスやサークルKを運営するシーアンドエス、第一製薬などがある。
販売価格は個別の見積もりによって異なるが、富士通では今後3年間で導入企業500社、受注額1000億円を目指している。アウトソーシング事業の2003年度の売上高は3059億円と見込んでいるが、これも2005年には4120億円にしていきたいとしている。
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