11月20日、XML関連の標準化団体であるOASIS(Organization for the Agreement of Structured Information Standards)は、同団体の扱う標準技術について紹介するイベント「OASIS Open Standard Days Tokyo 2003」を都内で開催した。OASISが日本でイベントを開催するのは今回が初めてとなる。基調講演にはOASISバイスプレジデントのカール・ベスト氏が登場し、Webサービスの現状について紹介すると共に、標準化活動に対する日本企業の積極的な参加を呼びかけた。
Webサービスとは、異なるベンダーのシステムがインターネットを介して情報をやりとりし、自動的に一連の処理を行うもの。「Webを使うのではなくインターネットを用いるので、本当はネットサービスと呼んだほうがいいのかもしれないが、なぜかWebサービスと呼ばれている」(ベスト氏)。このとき、データはXMLで記述される。
Webサービスに関する標準化団体としてはIBMやMicrosoft などによって設立されたWS-I(Web Services Interoperability organization)やW3C(World Wide Web Consortium)などがあるが、それぞれWebサービスの定義が異なるとベスト氏は紹介する。WS-Iは、Webサービスには基本的に4つの要素によって構成されると定義しているという。その要素とはSOAP(Simple Object Access Protocol)、WSDL(Web Services Description Language)、UDDI(Universal Description Discovery and Integration)、XMLスキーマだ。
OASISバイスプレジデントのカール・ベスト氏 | |
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一方W3Cは、URI(Uniform Resource Identifier)で特定されたソフトウェアアプリケーションと定義しており、XMLのプログラムを利用することでコンピュータ間の直接的なやりとりが可能になるとしている。ただしSOAPやUDDIの利用を前提としているわけではない。
「どちらもシステム間で有用なことが行われるという点では同じだ。しかし、WS-Iがスペックを規定しているのに対し、W3Cの定義はスペックを問わず、それによって何ができるかということを問題にしている」(ベスト氏)。
Webサービスが実現するには何が必要なのだろう。ベスト氏は「まずスペックを確立すること。もう1つは多くのベンダーやユーザーがスペックの形成に関与することだ」と訴える。
ベスト氏は特に、様々な団体や企業、政府などの参加が不可欠だと語る。「ベンダーに任せてしまっては、自分たちのニーズや要件を取り入れてもらうことができない。世界の人々のニーズに合ったものでありたいと考えており、米国や欧州だけでなくアジアからの参加が必要だ。また、スペックの実装やWebサービスの実現には政府の支援も欠かせない」(ベスト氏)
ベスト氏はDelphi Researchの調査結果を引用しながら、標準化活動に参加するメリットも訴えた。それによると、企業はベンダーによらない環境が手に入るほか、開発者コミュニティとの関係が築けるといった利点があるという。さらに様々な企業や団体が参加することで、幅広い視点でスペックの検討が行えるとも語った。
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