11月14日、慶應義塾大学においてWeb 技術の国際標準化を推進する World Wide Web Consortium (W3C)による技術カンファレンス「W3C Day 2003」が開催された。会場ではウェブの生みの親と呼ばれるTim Berners-Lee氏が登場し、セマンティックWebについて講演した。
Tim Berners-Lee氏はウェブの基礎となるURLやHTTP、HTMLを最初に設計した人物。現在はW3Cのディレクターを務めており、セマンティックWebの実現に向けて力を注いでいる。
セマンティックWebとは、内容に関する情報(メタデータ)をウェブページに持たせることでコンピュータがその内容を理解できるようにし、情報を自動的に処理させる技術。この技術が実現すれば、検索結果の精度が高まったり、ウェブ上にあふれる情報を利用者が簡単に活用できるようになるとされている。
Berners-Lee氏は現在多くの企業が、異なるアプリケーションを連携させるために膨大な資金と労力をつぎ込んでいると指摘。セマンティックWebが実現すれば、この投資も不要になるという。
ただしセマンティックWebの実現には多くの課題があるとBerners-Lee氏は語る。最も大きな問題は、現在コミュニティごとに異なる形式で管理されているデータに標準化されたメタデータを付加する必要がある点だ。Berners-Lee氏は、標準化をめぐり激しい反発や議論が巻き起こること予測する。「合意は困難だと思うが、可能だと信じている」(Berners-Lee氏)とやや弱気だ。また、セマンティックWebの必要性をどこまで訴えられるかという問題もある。「『すでにWebがある。これでうまく行っているじゃないか』という人もいる。これも問題だ」(Berners-Lee氏)
World Wide Web Consortium(W3C)ディレクターのTim Berners-Lee氏 | |
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セマンティックWebは本当に広まるのだろうか。Berners-Lee氏は言う。「HTMLも注目され始めた当初は『ひどい言語だ』『なんでこんなものを使わなくてはいけないんだ』と言われた。そのうち『わかったよ。どうやらこれを使えばうまくいくみたいだから使ってみよう』と言われるようになり、最後には『なんてことだ!なぜこんなすばらしいものを今まで使わなかったんだろう!』となって、これがいかにエキサイティングなものであるかを説明する必要もなくなった。セマンティックWebも今、同じ道を途中まで来ている」
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