米国の新興企業ClearSpeed Technologyは、大量の複雑な数学処理を実行するために設計した新型チップで、スーパーコンピュータやサーバの性能が飛躍的に向上すると期待している。
同社のCS301プロセッサは、、低消費電力のマルチコア内蔵型のチップである。このチップは、データ圧縮、たんぱく質解析、フィルムのレンダリングなど、最強のコンピュータでさえも苦戦するような、複雑かつ反復の多い数学的処理を行うために設計された。同社は、来週、米アリゾナ州フェニックスで開催されるSC2003というスーパーコンピュータのカンファレンスで、このプロセッサを初めて一般に公開する。
同チップは、わずか200MHzで動作するにすぎないものの、各々が並列に命令を実行し、構造的に近似した数学計算を同時に処理可能な、64個の独立した「プロセッサ要素」で構成されている。単純な計算パワーの点でみると、その仕組みはCS301上で25ギガFLOPS(1秒間に250億の命令を実行可能)もの性能を実現している。これは、3GHzのPentium 4チップの約2倍に相当する処理能力だ。ギガFLOPSという尺度は、正確な性能を示すものではない。だが、チップやコンピュータがどの程度素早く処理を完遂できるのかを見る指標にはなる。
「われわれは、特にバイオサイエンスの分野で、とても大きなニーズがあると見ている」とClearSpeed社長のMike Caliseは話す。「倍数の行列計算は、非常に膨大なものになっている」
Lockheed Martinは、すでに同チップをいくつかの自社製マシンに採用している。ClearSpeedはまた、来年に向けて同チップをサーバ向けに採用してもらえないかと、Linux NetworxやRLX Technologiesのような小規模な会社を中心に、いくつかのサーバメーカーに打診を行っているところだ。なお、米IBM Semiconductorがこのプロセッサの製造にあたる。
ClearSpeedの哲学は、主に「divide and conquer(分断して、攻略せよ)」という言葉に集約できるものだ。多くのチップでは、命令はメモリから取り出された後にデコードされ、それから実行のために浮動小数点演算ユニットや整数演算ユニットに送信される。現在市場にある典型的なマイクロプロセッサでは、浮動小数点演算ユニットと整数演算ユニットをそれぞれ3つ持つことになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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