米国特許商標庁(USPTO)が、米Eolas Technologiesが保有するブラウザプラグインに関する特許の再審査に同意し、ウェブ全体を混乱させている争いに正面から取り組み出した。この展開は、Microsoftをはじめ、この特許を敵視する陣営にとっては追い風となりそうだ。
米カリフォルニア州立大学が保有し、従業員1名のソフトウェア企業であるEolasに独占的にライセンス供与されている「906特許」には、ウェブブラウザが外部のアプリケーションを使用する手法が記述されている。また、連邦地裁の陪審団が米Microsoftのウェブブラウザ、Internet Explorer(IE)が同特許を侵害していると判断したことから、カリフォルニア州立大とEolasは5億2100万ドルの損害賠償を勝ち取った。
Microsoftが、数百万のウェブページの破壊につながりかねないIEの変更計画を発表したのを受け、標準化団体のWorld Wide Web Consortium(W3C)は先月、USPTOに対し、Eolasの特許に先行するとW3Cが主張する同団体の技術に照らして、いわゆる906特許を再審査するよう強く要請した。
具体的には、W3Cは、同団体ディレクターのTim Berners-Leeと職員のDave Raggettが作成した初期のHTML仕様が、今回のケースでは先行技術に当たると指摘した。
W3Cは、Eolasのケースに関係する先行技術を発見するための、より大規模なキャンペーンの一環として、この要請を行った。先行技術とは、特許が取得される前に開発された同様の発明で、先行技術の存在が確認されるとその特許は無効となる。
USPTOはW3Cの要請に迅速に対応し、10月30日に906特許の再審査命令に着手し、今月10日にこの命令書が特許審査員に届けられた。
USPTOの特許審査方針担当副コミッショナー、Stephen Kuninは再審査命令書の中で、「影響を受けている業界のさまざまな部門から、906特許の特許性に関して疑問を投げかける声が上がっている」と述べた。「これにより、異例の事態が生み出されており、それを解決するには、特許商標庁長官が命じる審査が、適切な解決策である」(Kunin)。
Kuninは、W3Cが再審査請求で取り上げた技術を、具体的に引用した。
「906特許の特許権所有者によって認められた先行技術、ならびに新たに指摘されたBerners-Lee、Raggett I、Raggett IIの学説に照らして、906特許の1―3および6―8の特許性に関する、新たな問題が生じている」(Kunin)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」