それでも「アダプティブエンタープライズ」のお題目を唱え続ける米HPのフィオリーナ

 米Hewlett Packardの最高経営責任者(CEO)Carly Fiorinaは28日(米国時間)、同社の提唱する「アダプティブエンタープライズ」という概念に磨きをかけようと試みた。しかし、相変らずその本当の意味については定義されずじまいだった。

 米Forrester Researchがボストンで開催中のExecutive Strategy Forumで、参加者を前にしたFiorinaは、アダプティブエンタープライズについて「適者生存の考え方にヒントを得たリファレンスアーキテクチャ」の上に構築されたビジネス戦略と呼び、それは企業が生き残るためにテクノロジープロセスを変えていくことに主眼を置くものだと語った。

 この概念を、「拡張したインターネット」というこのイベントのテーマに結びつけ、あるいはインターネットを使った新技術をビジネスの場に持ち込もう試みたにも関わらず、Fiorinaの努力は全く報われず、HPがスローガンとして使っているこの概念のわかりにくさは解消されなかった。

 「アダプティブエンタープライズとは、企業内部の基礎技術が、その企業が望むことを何でも可能にする状態のこと」とFiorinaは言う。「ビジネスにおける決断がリアルタイムでITプロセスに支えられている状態を指す」(Fiorina)

  Fiorinaは、その概念を示す一例として、部品サプライヤーとの取り組みに関するHPのアプローチを紹介した。サプライチェーンにおけるプロセスの単純化により、HPは新しいパートナーを追加するのに要する時間を5日間から2時間へと短縮できたという。この短縮の過程で、HPは4つのルールに従って、ビジネスプロセスを移行していった。それは単純化、標準化、モジュール化、そして統合の4つだ。しかし、同社が目標を達成した手法についての具体例の提示は、ほとんどされなかった。

 「単純化がなければ、適応はできない」とFiorina。「ほとんどの組織は複雑過ぎる。また多くの技術を構築済みだが、その技術がコストアップと硬直化を生んでいる。」(Fiorina)

 Fiorinaの試算では、ほとんどの企業は現在、社内のITを容量の30%しか活用していない。そして、アダプティブエンタープライズのような戦略を採用し、さらにもっと賢く、多くのものを結びつけたシステムを構築すれば、この割合は劇的に改善するはずだと語った。

 今後の見通しについて、FiorinaはIT経済が回復するとみているが、それは一夜にして起こるものではなく、または業界の整理統合なくしては実現しないと述べた。また、IT市場は米国GDPの倍の速度で成長すると考えており、さらにHPの最大の弱点は同社が現在展開中の様々な事業の全てを活用していない点にあると認めた。

 「HPの事業ポートフォリオは、新しい市場環境に合わせて調整されつつある。過去には、各部門が別個のビジネスとして展開していた。我々の挑戦は各々の事業をとりまとめることだ」(Fiorina)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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