米国のバージニア工科大学が1100台のデュアルプロセッサMacintosh G5を使って構築したスーパーコンピュータが、低コストにもかかわらず、世界で五指に入る高速マシンとなりそうだ。
このG5 Macで構成するシステムには合わせて2200基のプロセッサが搭載されているが、そのうちの2112基を稼働させて行った性能テストの結果が、米国時間22日に発表された。それによると、「Big Mac」と命名されたこのクラスタシステムが、8.1テラフロップ(毎秒8.1兆回の浮動小数点演算処理)を達成したという。同システムはまだチューニング途中で、最終結果の発表は来月以降になるが、今回発表された8.1テラフロップという数値は、世界最速とされる500台のスーパーコンピュータの中でも、第4位に相当するものだ。
Macintoshのハードウェアが、ここしばらくトップ500にランクインしていなかったこともあるが、なによりもBig Macのコストの低さを考えると、この数値は驚くべきものだ。従来、最速を誇るマシンを構築するには1億ドルから2億5000ドルのコストがかかり、時間的にも数年を要していたこの世界で、Macをベースにしたこのシステムは、9月に構築が始まったばかりで、さらにコストのほうも500万ドルをやや上回る程度だ。
バージニア工科大学の話では、最終的な性能値は今より大幅に高くなるという。8.1テラフロップという値は、同システムの理論上の最大性能である16.8テラフロップスのわずか48%に過ぎず、またこのクラスタにはさらに効率化できる可能性もある。
バージニア工科大学のシステムより上位にランキングされている3台のマシンのうち、一番速いのは日本製のEarth Simulatorだが、このスーパーコンピュータは理論上での最大性能の87%で稼働しており、ほかの2台も67%と74%というレベルだ。これらの数値は、テネシー州立大学のコンピュータ科学者でトップ500のリストを管理するJack Dongarraが報告書の中で公開したもの。今回のテストに先立って実施した別のテストでは、Big Macに搭載されたプロセッサのうち、わずか数基だけしか使わかなかったが、その時の性能は理論最大値のおよそ80%に達していた。
バージニア工科大学では、このクラスタを使って、ナノ電子工学、化学、航空力学、分子静力学、音響物理学、分子モデリングなどの分野の各種研究を行う予定である。
5120基のカスタムプロセッサを搭載した日本のEarth Simulatorは、昨年35.8テラフロップという記録を出したが、最大で2億5000万ドルのコストがかかったと推定されている。第2位には、8192基のAlphaチップが稼働するHewlett-Packard(HP)のASCI Qが13.8テラフロップスでランキングされている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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