サン・マイクロシステムズは30日、安全なデスクトップ環境をテーマとしたプレスセミナーを行った。セミナー冒頭にて同社プロダクトマーケティング本部長の山本恭典氏は、「Windowsにはセキュリティ問題が多すぎる。記憶に新しいMSBlastをはじめ、メリッサ、I love you、CodeRed、Nimdaなど、繰り返しウイルスの標的とされ、このままではユーザーがPCを使えなくなる事態に陥ってしまうかもしれない」と警告、サン製品の安全性について語り始めた。
山本氏は、サンの社内では同社が1999年に出荷を開始したSun Rayというシンクライアントを導入し、ウイルスとは無縁の環境を実現できていると語る。Sun Rayでは、各クライアントでデータやプログラムは動いておらず、処理はすべてサーバ上で行われる。サーバを皆でシェアするため、ローカルデバイスのセットアップや設定も不要。Sun Rayが社内に行き渡っているサンでは、Javaカードを使って各端末からアクセスするだけで自分のPC環境が実現できるため、ノートPCを持ち歩く必要もないのだという。ローカルにはデータが存在せず、カードを紛失した場合もサーバ側で無効にすることが可能なため、第三者による不正アクセスやデータの持ち出しなどの心配もないと山本氏はいう。
「Windowsでは2年ごとにフルインストールを行い、パッチあてはほぼ2日ごとに行わないと安全性が保てないのが現状だ。それがSun Rayでは端末ごとのメンテナンスやアップグレードは不要。システム全体のアップグレードはサーバのみで行えばいいため、簡素でセキュアな環境が実現できる」(山本氏)
サン・マイクロシステムズ プロダクトマーケティング本部本部長、山本恭典氏 | |
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山本氏はまた、Sun Rayを導入することでコスト削減にもつながると主張する。同氏は500台のデスクトップを5年間運用すると想定した場合、管理費やOSのライセンス料などのコストがSun Rayの場合約半分になると試算している。コスト削減において同氏は同時に、マイクロソフトのOffice製品の代替品となるサンのStarSuiteも推奨している。「ワープロや表計算、プレゼンテーションなど、MS製品とほぼ同じ機能を備えており、またMS Officeとのデータ互換性も高い。ウイルスの影響も受けないため、安心して使える」と山本氏はアピールする。
このように自社製品のメリットを述べる山本氏だが、Sun Rayが発表されて以来この4年間に同製品が導入されたのは、国内で数千台レベルというわずかなもの。この原因について山本氏は、Sun RayがSolaris環境にあり、どうしてもマイクロソフトのアプリケーションを使わなくてはならない作業環境にいる場合、導入に踏み切れない点、またプロモーション不足であった点をあげている。しかし「現在デスクトップアプリケーションへのニーズは少なくなりつつある。特に基幹系業務においては、ウェブベースやJavaベースでのアプリケーション利用が増加しており、ウェブさえあればOSの環境は問わないという状況になりつつある。これでSun Rayも導入しやすくなるだろう」と山本氏は述べている。
Sun Rayを普及させることでサンの利益につながる部分は、サーバの販売というハードウェア部分、そのサーバ向けアプリケーションの販売というソフトウェア部分、新テクノロジー導入の際のコンサルティング、その後の保守サービス、またJavaカードやシンクライアントを使いこなすための教育サービスだという。将来的にサンでは、Sun Rayの仕組みをデスクトップやノートPC、さらにはPDAでも実現することを目指しているという。
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