欧州議会は、先にソフトウェア特許に関する指令を可決した際に厳しい制限条項を追加したが、これがITセクターに害を及ぼす可能性があると、ある法律の専門家が語った。
ある特許法専門家によると、欧州議会は、コンピュータを使った発明の特許取得に関する指令(Directive on the Patentability of Computer-Implemented Inventions)を24日の投票で可決したことで、欧州の特許システムを改正する機会を台無しにしてしまったようだという。
英国の知的財産権法律事務所、BristowsのIT専門家であるAlex Battesonは、大きな議論を呼んだこの指令に、法の影響を根本的に変える内容の修正案を加える決定を欧州議会が下したことで、欧州委員会がこの指令を撤回する可能性が出てきたという。だが、Battesonは、これは悪いことではないとほのめかす。特許法改正が民主的監視なしに、特許法専門家により調整される可能性が出てきたからだ。
「非民主的なように聞こえるかもしれないが、この場で論議されてきた問題は、欧州議会が対処するにはあまりにも複雑なものだということを、修正された提案が十分に論証している。欧州議会は、特許問題に関してここまで徹底的な専門知識が必要とは思っていなかったということだろう。修正案は確かに委員会のFrits Bolkesteinを怒らせたようで、Bolkesteinは、EPO(欧州特許局)が再交渉できるよう、この指令を引き下げると決定する可能性がある。そうなると、この問題は議会の手から離れ、各国の特許専門家が構成する代表団体に引き渡されることになる」と、Battesonは声明文のなかで述べている。
この指令は、経済学者、中小企業、ソフトウェア開発者、コンピュータ科学者などから、定義があいまいだとして強い批判を受けていた。実際、あらゆるソフトウェアやアルゴリズム、ビジネスプロセスが特許取得できるようになる可能性があるからだ。批判側は、すでにこの状況になっている米国では特許法律家にしか利益をもたらしていない、と主張している。
反対陣営は、特許が相互運用性に干渉しないことを狙った条項6aなど、いくつかの修正案を通すのに成功した。Battesonは、この修正案を「極端に走り過ぎており、議論の余地がある」としている。これにより、多くの特許が事実上ただの紙切れとなってしまうからだ。そして、「これは、IT業界に害を及ぼしかねない。欧州議会は、無用なものといっしょに大事なものを捨ててしまったようだ」と述べている。
同指令は今後、加盟国それぞれの議会で審議されることになっている。各国の議会には、指令に変更を加えた後、欧州議会にこれを差し戻す力がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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