米Microsoftは今週、同社の長期計画の一環となる新開発・管理ツールのプレビューを行なった。
同社幹部は、開催中のTechEdカスタマーカンファレンスにおいて、CNET News.comが行なったインタビューの中で、来年の同社の製品販売計画の概略を明らかにした。Windowsデスクトップオペレーティングシステム(OS)の次の主要リリース、Longhorn(コード名)で動くよう設計された製品は、この計画のなかで優先度が高くなっている。
Longhornは、Microsoftの今後の製品戦略の要となっている。同社最高経営責任者(CEO)Steve Ballmerは4日(米国時間)、全社員に向けたメモのなかで、OSアップグレードの重要性を強調し、Longhornは「おそらく、Windowsの第1世代よりもさらに重要度が大きい」と述べている。
またMicrosoft幹部はTechEdで、長らく噂が流れていた「X#」(「エックス・シャープ」と発音)という名のプログラミング言語研究プロジェクトの存在を認めた。同社幹部によると、同社は現在、現行の言語よりも効率的に拡張マークアップ言語(XML)のデータを扱えるよう、プログラミング言語の構築ブロックである「言語要素」に取り組んでいるという。
MicrosoftのVisual Studio.Net開発ツールはすでにXMLとの親和性が高く、同社はさらに、XMLベースのWebサービスを使って同社のさまざまな製品を結びつけようと大きな期待を寄せている。X#プロジェクトはまだ開発の初期段階で、X#を具体的な製品にすぐ統合しようという計画はない、とMicrosoftのサーバプラットフォーム部門上級副社長Paul Flessnerは述べている。
幹部によると、Microsoftは2004年発売予定のVisual Studio.Netバージョン(プロジェクトコード名「Whidbey」)で、開発時間を短縮するための言語拡張を導入するという。また、新バージョンで導入されるツールを使うと、BizTalk統合ソフトウェアや、Commerce Server 電子商取引ソフトウェアなどMicrosoftのサーバアプリケーション用のプログラムをより簡単に構築できるようになる。
同社では、Whidbeyにはその他にも、プログラミングの問題解決のための文書である「ナレッジベース」が導入されるという。このヘルプシステムは、Visual Studio.Netでサポートされているプログラミング言語に対応した内容になる。
Whidbeyの拡張は、今年の夏か秋に発売されるMicrosoftのSQL Serverデータベースのアップデート版(コード名Yukon)と密接に関連している、とMicrosoft幹部は話している。
Yukonでのデータマイニング
Yukonの目標の一つは、より幅広い層のユーザーがデータ分析のためにバックエンド・データベースにアクセスできるようにすること、とSQL Serverのプロダクト・マネージャーのStan Sorensenは言う。
Yukonはレポート生成ソフトを同梱する予定で、MicrosoftはXMLを含むさまざまなフォーマットでデータを提供できるように、SQL Serverを改良している。Sorensenによると、これによって、Microsoft Officeのデスクトップ・アプリケーションに慣れ親しんでいるユーザーが、バックエンド・データベースのデータリソースに問い合わせることが容易になるという。Microsoftはまた、YukonによりSQL Serverに含まれるデータの分析、もしくは"データマイニング"能力を拡張する。
Sorensenによると、Yukonに取り入れられなかったものの一つに、いくつかのハードウェアサーバーで、いわゆる共有ディスク構造のストレージにあるデータの単一の事例を共有するような、データベースのクラスタリングの強化があるという。この処理能力の向上のために、いくつかのサーバーを一緒にまとめあげるやり方は、Microsoftの競合であるOracleが熱心に勧めていたものだが、、それがSQL Serverの将来のバージョンでも検討されるだろう、とMicrosoftの幹部は説明した。
アプリケーション・マネジメントの分野においては、MicrosoftはSystems Centerと呼ばれる単一製品を使い、さまざまなプログラムを一元管理するプログラムの第一歩を踏み出す。2006年に登場予定のSystems Centerは、全てのMicrosoft社製品の管理を行うための製品。来年にも、Microsoftでは自社のSystems Management Server (SMS)、及びMicrosoft Operations Manager (MOM)製品をアップデートし、バンドル製品として売り出すことにしていると、Flessnerは言う。
2005年のLonghornのリリースに伴い、MicrosoftはVisual Studio.NetのOrcasと呼ばれるバージョンを準備している。OrcasはLonghorn向けのアプリケーションを作るために設計されている。また同社にでは、Longhornと同時期にOfficeスイート版もリリースするという。
2006年か2007年には、自社のExchangeメッセージングサーバーのアップデートも予定しており、内在するデータ格納場所としてSQL Serverを利用するようになる。また2006年には、Windows Server 2003 の後続としてBlackcombというコードネームの製品がデビューする予定だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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