米Novellは5月28日(米国時間)に、SCOに宛てて送付した書簡の内容を公開したが、このなかで同社は、SCOがその所有を主張しているUnixの特許権および著作権が、自社のものであると言明した。また同社は、SCOに対して、Unixソースコードのなかのいったいどの部分がLinuxにコピーされたのかを明らかにするように要求し、さらにLinuxを相手取ったSCOの一連の言動が、Linuxの顧客、開発者、ならびにそれを利用している企業に与えたダメージに対する補償を求める法的措置も辞さないと述べている。
NovellのCEOであるJack Messmanから、SCOのCEO、Darl McBride宛てに送られたこの書簡のなかには、「自社の知るところでは、1995年に交わされた、NovellからSCOへのUnix売却を定めた契約のなかには、Unixに関連する著作権を移譲するとは記されていない」と書かれている。Messmanは、SCO側ではこの点をはっきり理解しているといい、「過去数カ月にわたって、この著作権を自社へ移譲するよう、SCOが繰りかえし働きかけてきていたが、わが社ではこのリクエストを断ってきたこと」をその理由に挙げている。
いっぽう、SCO Groupでは、Novellの主張を的外れであるとし、同社SCOsourceの責任者Chris Sontagは、Unixに関する知的所有権のすべてを、著作権、特許権、その特許権を他社に遵守させる権利も含めて、自社が買い取っているからだと述べた。ちなみに、SCOsourceは、自社が保有するUnix関連の知的所有権から、より多くの利益を引き出そうとするSCOの活動である。
「われわれには、いまでも法的効力を持つ、Unixに関連した特許について、それを遵守させる権利がある」とSontagは火曜日(27日)晩に行われたインタビューのなかで語った。彼の考えでは、Novellと、そして元々Unixを開発したAT&Tとは、いまだにUnix関連の特許権をいくつか保有しているものの、SCOには「あらゆる権利があり、またすべての著作権や契約をコントロールしている」という。SCOの主張は、同社がIBMを相手に起こした10億ドルの損害賠償を求める訴訟の基礎となっている。IBMがUnixに関する業務上の秘密を不正流用し、それらの知的所有物をLinuxのなかに組み込み、同時にSCOとの契約にも違反したと、SCOでは主張。また、もっと最近では、LinuxのなかにUnixのコードを1文字1句違えずにコピーした箇所があり、またその出所がわからないようにしてあるとも主張している。この訴えは、Linuxの基底にあるオープンソースソフトウェアの哲学の中核に切り込むものだ。
SCOは、しばらく前に世界の主要大企業1500社に宛てて書簡を送付し、同社の訴えが認められた場合には、Linuxを利用していると法的措置のターゲットになる可能性があると通知した。
今回のNovellの発表とほぼ同時に、SCO Groupでは2003年度第2四半期決算を報告した。同社は第2四半期に売上2140万ドル、利益450万ドルをあげ、初めての黒字化した。売上の3分の1はライセンス収入からのものだと同社では説明した。
IBMに対するSCOの訴えのなかには、特許権は含まれていないものの、SCOでは特許権に関連した訴えを将来訴訟のなかに追加する可能性を除外してはいないとSontagはコメントし、いずれにせよ同社はIBMがSCOとの契約を侵害したとの自社の主張が認められることを信じていると付け加えた。
「著作権および特許権は、素性のわからない人間から、自分の利益を守るもの。それに対して、契約は既に何らかの関係がある相手に対して使うものだ。だから、特許権よりも、契約を使ってできることのほうが、ずっと強力になる」(Sontag)
ユタ州リンドンが本拠地のSCOでは、来月(6月)に、UnixからLinuxにコピーされたと同社が主張する具体的箇所を、秘密保持契約にサインしたアナリスト等の人間に向けて明らかにする予定があると、Sontagは語った。
しかし、Novellでは、Unuxのどの部分のコードがLinuxにコピーされたかを明らかにすることを、これまでのところSCOが拒んでいる点を攻撃した。「そろそろLinuxに対する主張を中身のあるものだと証明するか、あるいはそれができないならば訴えを取り下げるべき頃合だ。そうした行動がとられなければ、SCOの本当の意図が、Linuxのディストリビュータやユーザーからライセンス料を強請りとるために、恐れ、不確実性、そして疑いを植えつけるためのものだということは誰の目にも明らかになるだろう。
さらに、NovellではSCOを相手取った法的措置を自社のほうから起こす可能性を示した。
「SCOの一連の行動は、Linux技術を中核としたビジネスに携わる各企業・個人の間で、重要なタイミングで形成され得る関係の成立を阻害しており、これらの企業・個人から重大な経済上の機会を剥奪している」とNovellのMessmanは声明のなかで述べている。「数多くのLinuxユーザー、開発者、そしてその他のLinuxコミュニティーのメンバーが、SCOの行動によって損害を被っており、それについてSCOが潜在的かつ重大な法的責任を負っていることを理解されることを、我々は望んでいる。SCOがさらに何らかの行動をとれば、Linux関係者の売上は失われ、失職するものが現れ、プロジェクトの遅れや資金調達の中止が発生し、Linuxのコミュニティはばらばらに分裂してしまうだろう」(Messman)
Novellによる今回の主張は、これまでSCOに対して取られたなかで、最も強硬な行動である。ユタ州プロボに本社を置くNovellでは、Linuxの将来に大きな関心を寄せている。同社では、Linuxを中核にした、NetWareオペレーティングシステムの新バージョンを開発中だからだ。
オープンソースの提唱者であるBruce Perensは、今回のNovellの行動に賛辞を寄せている。「今日、Novellは私たちにこの上なく素晴らしい贈り物をくれた。憎たらしい寄生虫を踏み潰してくれたのだ。SCOは大声で何度も、自分たちがUnixの知的所有権の持ち主だと言い張ってきた。30数年前にAT&TがはじめてUnixを開発した時から現在までに生み出されてきたもの全部が、自分のものだと言っている。彼らは自社の株主、顧客、パートナー、警告の手紙を送りつけた1500社、メディア、そして一般の人々に対して、嘘をついているのだ。」と、Perensは声明のなかで述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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