外資系ITメーカーの数少ない国内研究開発所のなかでも、2500名という規模で存在感を示す日本IBMの開発製造部門(APTO:Asia Pacific Technical Operations)。このAPTOは、他国のIBM研究開発部門と比べてもユニークなのだという。それは、基礎研究、ハードウェア開発、ソフトウェア開発、製造技術のすべてを行っている世界で唯一の研究所であるという点だ。7月30日に開催されたプレスセミナーにて、今年4月よりAPTOの部門長に就任した取締役専務執行役員の内永ゆか子氏が、APTOの取り組みについて説明した。
あらゆる分野の研究開発を行っている強みを生かし、APTOではこれまでのソフトウェア、ハードウェアといった縦割りのグループだけでなく、各グループの成果を統合ソリューションとして提供するための「APTOソリューション開発」というサービス部門を設立した。APTOはこれまで、部品レベルのインテグレーションを行うことからスタートし、部品を製品の中に組み込んでPCやサーバを作り上げるという製品レベルのインテグレーションを行ってきた。さらに現在では、サーバなどをネットワークでつなげるというシステムレベルのインテグレーションや、そこに新たな機能を追加したソリューションレベルのインテグレーションを行うようになっている。こういった流れの中で新たな部門を設置し、ソリューション提供へのニーズに応えるという。
日本IBM 取締役専務執行役員 開発製造担当 内永ゆか子氏。同氏は8月より大和システム開発研究所長を兼任する |
「APTOソリューション開発部隊を設置することで、APTOの価値や強みを生かした統合ソリューションの開発ができるようになる。顧客への直接支援を行うほか、営業活動に対する技術支援も行う。また、研究開発部門のスキルや能力を拡大させることもできる」(内永氏)
また、営業やサービス部門と協業の下でこのようなソリューションのセールスを担当する「APTOソリューションセールス」もAPTO内に新設したという。APTOソリューションの窓口となるこの部隊では、金融や製造などの業種別に担当者を置き、業種別営業部門やサービス部門との協業で顧客への提案を行うという。
さらに、各分野の上位アーキテクトやビジネススペシャリストの委員会となる「アーキテクチャー・ボード」を設置した。アーキテクチャー・ボードは、全製品にまたがるアーキテクチャについて、製品開発、新規プロジェクトの提案などでガイドを行う委員会だ。同ボードが要となってアーキテクチャを決定することで、効率化が図れるという。
これらの新組織が本格的に活動をはじめるのは8月から。「優れた技術力と品質を追求し、イノベーションとインテグレーションの推進により顧客の成功に貢献する」というAPTOの方針において、新組織はどの程度威力を発揮することになるだろうか。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」