オンラインオークション大手のeBayは、子会社のPayPalが特許侵害でAT&Tに訴えられたことにより、特許に関する新たな悩みを抱えることとなった。
ウェブ特許をめぐる訴訟合戦が激しさを増す中、米AT&Tは20日(米国時間)、特許権侵害の疑いでeBayとその子会社のPayPalを提訴した。
AT&Tはデラウェアの連邦地裁に提出した訴状の中で、eBayとPayPalのオンライン決済システムは特許番号5329589の「通信システムによる取引の仲介」を侵害していると主張している。
AT&Tが特許権を主張している取引方法とは、信頼できる仲介者を通じてインターネットなどの通信システム上で安全な決済処理を行うもの。信頼できる第三者を介することにより、クレジットカード番号や銀行口座番号などの機密情報を取引相手に開示する必要がなくなる。
eBayは、過去にAT&Tとこの特許について話し合ったが、訴訟には何の利点もないと考えており、「力強く積極的に」自己防衛する予定だ、と述べた。
最近ソフトウェア特許に関する動きや議論が活発化してきている。カリフォルニア州立大学とその関連会社が米Microsoftから5億2100万ドルの損害賠償を勝ち取ったのをきっかけに、ソフトウェア特許問題が特に大きな注目を集めるようになった。同判決を受け、MicrosoftのウェブブラウザInternet Explorerは大幅な変更を迫られる可能性がある。この問題は、米特許商標庁が訴訟の原因となった特許の再審査の実施を発表するという異例の展開を見せている。
eBayは、AT&Tに提訴される以前にも、複数の企業から特許侵害訴訟を起こされている。
同社は今年5月、MercExchange(本社:バージニア州グレートフォールズ)が起こした特許侵害訴訟で有罪判決を受けた。判決は、eBayとその子会社のHalf.comが、オークションサイト上で出品者が固定即売価格を設定できる「Buy It Now」機能に関して、MercExchangeの特許権を侵害したと認定した。eBayは判決を不服として控訴した。
eBayが2002年に買収したPayPalも、以前に提起された複数の特許侵害訴訟に関わってきた。まず、USA Bankが2002年9月にPayPalを提訴し、その1年後に逆にPayPalがUSA Bank(その後Bank Oneに改名)とBank One Delawareをやはり特許侵害で訴えた。これらの裁判については先月、両者の間で和解が成立したが、和解条件は明らかにされていない。
AT&Tは問題の特許について、1991年に出願し、1994年7月12日に付与されたとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」