「iPhone」が登場するずっと前に、Appleのコンピュータ企業からコンシューマーエレクトロニクス企業への転身に寄与したデバイスが「iPod」だった。
しかし今日、広く普及したiPodは、音楽プレーヤーという製品カテゴリを事実上支配しているAppleにとって、以前ほど重要なものではなくなった。Apple製品は依然としてMP3プレーヤー販売台数全体の4分の3を占めているが、近ごろはiPhoneや「iPad」といった多機能デバイスが、Appleユーザーはおろかエレクトロニクス業界全体からも大きな注目を集めており、iPodよりも多くの売り上げを生み出している。
したがって、Appleが米国時間9月1日にサンフランシスコで特別イベントを開催(過去5年間毎年9月に開催)し、音楽について語るにあたり、Steve Jobs氏とAppleは、iPodについて触れるだけでなく、進化した「iTunes」やリビングルームでコンテンツを視聴する新しい方法など、メディア全般について幅広く語るのではないかと思う。
今回のAppleからのイベント招待状には、アコースティックギターの写真があり、当然ながらAppleのロゴがあしらわれている。これを見ると、例によって何が発表されるのかを予想してみたくなった。
新しいiPodか、新しい「Apple TV」か、新しいビデオストリーミングサービスか。その全部かもしれない。以下では、われわれが1日に発表されると予想するもの、またAppleに発表してほしいと思うものをいくつか紹介する。
われわれは長い間、コンピュータに過剰な負荷をかけずに自分の音楽やメディアをすべてクラウドに保存し整理できるようなiTunesのウェブベースバージョンを思い描いてきた。この夢が完全に実現されるのはおそらくまだまだ先のことだろうが、Appleはウェブベースの音楽ストアを開設して、望ましい方向に大きな一歩を踏み出すのではとわれわれは考えている。
iTunesを通じてメディアを購入するプロセスは比較的古いもので、ウェブがあるからではなく、ウェブがあるにもかかわらず機能する、というものだ。現時点では、「iTunes Store」から音楽やメディアを自分のコンピュータにダウンロードするには、大容量のソフトウェア(しかも頻繁に更新される)をダウンロードし、退屈なインストール手順を踏まなければならない。
Amazon.com、Rhapsody、eMusicといった競合サービスではいずれもオンラインの音楽ストアをホストしている。そのため、iTunesよりも競争上有利な点がいくつかある。例えば、オンライン音楽コンテンツをより簡単にアーティストのページに埋め込むことができ、また、楽曲を購入するページへのリンクをクリックしてもブラウザの外に追い出されることがない。現時点で、Appleもメディアやアプリのコンテンツの多くについてオンラインにリストを掲載しているが、これらのページには、ユーザーを自動的にiTunesデスクトップソフトウェアに誘導し、同ソフトウェアがインストールされていない場合にはダウンロードするよう促すスクリプトが含まれている。これでは、最良の状況下であっても、スムーズなプロセスとはいえない。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」