「App Store」がなかったころの「iPhone」を思い出すのは難しい。
これまでに25万種類のアプリケーションが50億回以上ダウンロードされたことを考えると、App Storeは2007年のiPhone発売から1年後に登場したという事実をつい忘れがちになる。しかし、この比較的短い期間に、AppleはApp Storeを模倣した多くのモバイルアプリケーションプラットフォームが登場するきっかけを作っただけでなく、大きな目標に真剣に取り組むスマートフォンメーカーがアプリケーションストアへのアクセスを提供しないことなど考えられない、という状況も生み出した。GoogleやNokia、Microsoft、Research In Motion(RIM)、Palm、Hewlett-Packard(HP)、LG、そのほかの多くのスマートフォンメーカーがすべて同様のモバイルストアを開発し、モバイルデバイスから、ゲームやアプリケーションを閲覧および購入できるようにしている。
米国時間7月10日に2周年を迎えたApp Storeは、消費者向けモバイルアプリケーションの世界で、依然として誰もが認める王者として君臨している。大手コンテンツプロバイダーや大小のモバイル開発者スタジオは、ほかのプラットフォームより前に、まずAppleのプラットフォーム向けにアプリケーションを開発する。
とはいえAppleは、その王座を脅かす深刻な問題を無視できるわけではない。それらの問題には、Apple自身の成功が招いたものもあるし、アプリケーションストア分野の仕組みを把握したGoogleのようなライバルによってもたらされたものもある。
Googleはアプリケーションストア分野への進出は遅れたが、Appleの最大の脅威として台頭してきている。現在、「Android Market」では6万種類近くのアプリケーションが公開されており、キャリアによると、1日あたり15万台の「Android」搭載携帯電話をアクティベートしているという。この数字はAppleのApp Storeの人気と比べると見劣りするが、それでもこの勢いは相当なものだ。
Androidには好ましい点がたくさんある。Android向けの開発は、無料で行うことが可能である。これは小規模な開発者スタジオや個人を同プラットフォームへ誘い込む確実な方法だ。その上、Androidはオープンである。Appleは同社のさまざまな規則(「Flash」は不可、1つのアプリケーションを複数のプラットフォーム上で動作させるプログラミング言語も不可、ポルノも不可。そして、「iPhoneの中核的な体験の質を下げるあらゆるもの」に対する漠然とした禁止規定もある)でも有名だが、Androidプラットフォーム向けの開発に関する規則は、はるかに寛容だ。
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