「Windows」「Mac OS X」「Linux」の64ビット版が広く使用されるようになり、それらのOSに対応したソフトウェアも後に続いている。そのため、Adobe Systemsが「Flash Player」の唯一の64ビット版を提供中止としたことは、やや時代に逆行しているように思えるかもしれない。
しかし、Adobe Labsの実験的なLinux向け64ビット版Flash Playerがなくなったことが、これから起こることを示していると考えるべきではない。AdobeのFlash PlayerプロダクトマネージャーであるTom Nguyen氏は米国時間6月19日、広く使用されている同社のブラウザプラグインFlash Playerを32ビット時代の先へと進ませることは、同社の「最優先事項だ」と述べた。
とはいえ、Adobe自身は提供開始スケジュールを公式に表明しようとしていない。同社がある程度迅速に対応しないと、ブラウザを64ビットに移行したコンピュータユーザーは、ウェブサイトが適切に表示されないという負担を強いられるおそれがある。
Flashがウェブの世界から消えていくとしたら、多くの人が大いに喜ぶだろう。Flashによって可能になっている煩わしい広告を嫌がる人々や、Flashの機能の多くをHTMLやCSSといったウェブ標準で再現する取り組みを積極的に進めている人々などだ。しかし一方で、オンラインゲーム、インタラクティブチャート、動画ストリーミングなどの用途にFlashを利用している人々も無数に存在する。適切なバージョンのFlashがない状態で64ビットブラウザに移行した人は、ウェブが思ったように動作しないという事態に直面するおそれがある。
64ビットへの移行は、メインストリームのコンピューティング業界にとって長く険しい道のりだ。移行はまず最下層のコンピューティングハードウェアで始められ、今はソフトウェアで行われつつある段階だ。パーソナルコンピュータでは、プロセッサ(まずAMD、次にIntel)で始められ、次にOSで行われることとなった。テクノロジに精通したユーザーが中心のLinuxは、早い時期に32ビットから64ビットに移行し、Appleは、Mac OS Xの64ビット移行を「Snow Leopard」と呼ばれるバージョン10.6で一気に行った。Windowsはよりユーザー数が多く、移行はほかよりも緩やかに進行したが、「Windows Vista」の登場で64ビットWindowsを搭載したPCは一般的になった。
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