時には、自社と取引する以外の選択肢を用意しない方が、競争が容易になることがある。Hewlett-Packard(HP)は、「webOS」を自社で一番売れ行きが良く、最も有名な製品ラインに使用する意思を公にすることで、まさにそれを実行している。
HPのエグゼクティブバイスプレジデントTodd Bradley氏は、表向きはHPの新しいスマートフォンと「TouchPad」タブレットの発表のために設定されたイベントが始まって2時間ほどたったころ、驚くような発表をした。HPはPalmを買収して以来、webOSをさまざまなデバイスで使うことを計画していると言い続けてきたが、webOSをPCに投入するつもりだったことに気づいていた人は今までほとんどいなかった。
Bradley氏は「最も普及しているデバイス、すなわちパーソナルコンピュータにwebOSを搭載するという当社の計画を発表できて胸が躍る思いだ」と述べた。テクノロジ業界関係者の多くはその発表を聞いて、TouchPadが本当に「iPad」と競争できるほど優れた製品かどうかを考えることはやめて、世界がどう変わっているのかを考え始めた。
2011年に入ってMicrosoftは、モバイルデバイスで普及しているARMチップを「Windows」に採用することを既に発表している。そして今、HPは同社独自のソフトウェアを強調することで、特に付き合いが長く親しいパートナー企業を失う危険を冒そうとしている。HPはこれによって、ソフトウェア開発者にはwebOSを優先するほかに選択肢がないような世界を作り出すことを狙っている。
スマートフォンとタブレットだけの話をしているのなら、そのような方向に進む上で、米国時間2月9日の発表が消費者や開発者にとって十分だったかどうかは分からない。イベント後も、webOSベースのスマートフォンの最新世代や、HP初のタブレットについての重要な詳細情報は明らかに不十分だった。
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