3月31日についに携帯電話業界に参入するイー・モバイル。目玉となるのはWindows Mobileを搭載したシャープ製のPDA端末「EM・ONE」だ。汎用OSを搭載した端末はNTTドコモなどからも発売されており、今後も増えることが予想される。携帯電話端末のプラットフォームはこれからどのように変わっていくのか、3月6日に開催された「RTCカンファレンス×WinケータイFAN『携帯プラットフォームの変化』」にて議論がなされた。
RTCカンファレンスは月に1度の割合で開かれるオープン型の勉強会だが、今回は「WindowsケータイFAN」との共催という形で、Windows MobileをOSとして採用している携帯端末を題材に取り上げた。
会場には、RTCカンファレンスを主催するワクワク経済研究所LLP 代表の保田隆明氏、マイネット・ジャパンの上原仁氏と、WindowsケータイFANの岡本哲氏が登場。また、ゲストとしてイー・モバイル代表取締役副社長兼CFOのエリック・ガン氏と、同社執行役員 商品開発本部長の我妻義孝氏、jig.jp代表取締役社長の福野泰介氏、マイクロソフト モバイル&エンベデッドデバイス本部 部長の梅田成二氏が登場した。カンファレンスは各社の簡単なプレゼンテーションの後、主催者側から一般ユーザーの立場からの率直な質問を投げかける形で進められた。
13年ぶりに携帯事業に新規参入となったイー・モバイルのガン氏は日本の携帯電話市場について、利用者は多いが利用量は少ないと分析。通話料金に関しても「ARPU(ユーザー1人あたりの月額利用料金)で見れば世界水準だが、通話時間が非常に短い。1分単位で考えると通話料がまだまだ高い」と指摘した。
イー・モバイルの強みと弱みという質問には「強みは既存顧客がいないためにフレキシブルに動けること。他のキャリアができないこともできる。弱みは人員が少ないためにエリア拡充などが遅れがちなこと」と答えた。サービス開始当初はデータ通信端末のみを扱い、定額データ通信にADSL利用権利までを含む形で提供する。この独特のサービス形態については「モバイルが使われている一番の場所は家。続いてオフィス、ホテル。移動中は少ない。電波状況の整備しづらい屋内をADSLでカバーすることで本当のFMC(固定通信と移動体通信の融合)サービスが展開できる」とした。
jig.jpの福野氏は「携帯電話のフルブラウザは過渡期の技術。ユーザー数は携帯電話の方が多いのに、情報はPCに向けて発信されるものばかり。仕方なくユーザーが歩み寄った結果がフルブラウザ」とし、「いずれ携帯電話向けの情報が充実すれば不要になるもの」と言い切った。同社の製品であるjigブラウザの強みとしてはJavaVMの上でアプレットを動かすことでキャリアごとに対応したアプレットの開発が不要であることを挙げ、また、アプレットの仕様を公開しているためさまざまな開発者が手軽に参入できる環境にあるとした。
マイクロソフトの梅田氏はWindows Mobile搭載端末が順調に増えていることをアピール。「出荷量ベースで年率70%、金額ベースで40%の伸びを見せているWindows Mobileはマイクロソフトに7つあるビジネス事業グループの中で最も成長率が高いものだといえる」と語った。また、イー・モバイルの「EM・ONE」を例にとって「ソフトとハードの開発を、並行してできるので開発が早い。通常1年半から2年以上かかる端末開発が1年程度でできる」と特徴を挙げた。
絵文字をはじめとした日本独自の携帯電話文化に対応するつもりがあるのかという質問に対して「日本の文化は独特だが、機能を取り入れる必要があるとは考えている。EM・ONEはかなり日本文化を尊重したものに仕上がったと考えている」と答えた。
会場では2月にイー・モバイルから発表された端末EM・ONEも展示された。カンファレンスの最後には参加者をグループに分けて、Windows Mobile搭載端末およびフルブラウザの普及に必要なものは何かを議題としたディスカッションも開かれ、「汎用性が高すぎて混乱する」「キラーコンテンツの不在」など厳しい意見が多く飛び出したが、中には「実際にEM・ONEを触った結果、非常に使いやすいと感じた」という好意的な声も聞かれた。
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