MM総研は6月14日、全国の携帯電話を利用する15歳から79歳の男女2309人を対象に実施した番号ポータビリティに関するアンケート調査の結果を公表した。調査は4月下旬から5月下旬にウェブアンケートおよび郵送アンケートによって実施された。
調査によれば、番号ポータビリティを利用して事業者を変更すると回答したユーザーは11%だった。番号ポータビリティに関係なく事業者を変更すると答えたユーザー4%を加えると、事業者の変更希望者は15%になる。ただし、携帯電話事業者の月間解約率は0.7%から1.6%で推移しており、番号ポータビリティが導入されなくても、年間10%以上の解約が見込まれる。このことから、番号ポータビリティは、携帯電話事業者の変更を検討しているユーザーにとっては変更を後押しするサービスになるが、携帯電話事業者の加入者数シェアを大きく変動させる要因にはならないとみられる。
今回の調査では、携帯電話ユーザーの実態に即して、パソコン等を活用したインターネット利用者だけでなく、パソコンインターネット非利用者からの回答も収集している。アンケート回答者2309人のうち、パソコンでインターネットを頻繁に利用するユーザー1794人とインターネットを利用しないユーザー515人に分類して、番号ポータビリティの利用意向を分析した結果、ネットユーザーの利用意向が13%だったのに対して、非ネットユーザーの利用意向は5%に留まることが分かった。この結果からも、番号ポータビリティは、最新の機能を搭載した携帯電話や新サービスを求める情報感度が高いユーザーの事業者変更を促す要因となる一方で、音声通話やメールの利用を中心とするユーザーへの影響は少ないと予測される。
過去に実施された他機関による調査結果では、番号ポータビリティで携帯電話事業者を変更するユーザーが2割から3割程度に達すると予測されていたが、事業者変更で長期割引が受けられなくなることや、変更に伴う手数料支払い、メールアドレス変更を余儀なくされるといったデメリット情報が伝わるにつれて、番号ポータビリティ利用希望者の比率は徐々に縮小する傾向にある。
加えて、携帯電話事業者は、番号ポータビリティの開始を見据えて、家族割引や長期利用割引などの料金サービスや、通話エリア、携帯電話端末ラインナップを充実させており、自社ユーザー向けのサービス向上施策が浸透してきている。その結果、番号ポータビリティ制度の導入がもたらす事業者変更の影響は全体の1割程度に留まるとみている。
事業者別に見た番号ポータビリティ利用希望者の比率は、NTTドコモユーザーで11%、auユーザーで8%、ボーダフォンユーザーで16%となっている。MM総研は、今後番号ポータビリティが開始される秋までに各事業者が提供するサービスや携帯電話端末の評価によって、事業者間の優劣が明確になるとみている。
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