ニューヨーク市で市全域をカバーするWi-Fiサービスが実現できれば、他のどの都市でも実現可能だ。
ニューヨーク市議会議員らは、同市のおよそ800万人の市民が利用できるブロードバンドサービスを提供するための技術として、802.11ベースのWi-Fiやその他の技術を時間をかけて慎重に検討している。
ニューヨーク市が市営ブロードバンドサービスの運営に関心を示している背景には、市全域でWi-Fiに対する熱狂が異様な盛り上がりを見せているという事情がある。フィラデルフィア、ニューオーリンズ、サンフランシスコなどは、すでに市営Wi-Fiサービスの導入に向け動き始めているが、仮にニューヨークが独自のWi-Fiネットワークを構築すれば、全米どころか、恐らく世界最大の市営Wi-Fiサービスとなるだろう。
「(ニューヨーク市のWi-Fiサービスの導入は)もはや仮定の話ではなく、時間の問題だろう」と語るのは、マサチューセッツ州アッシュランドに拠点を置く調査会社Farpoint GroupのアナリストCraig Mathiasだ。同氏はさらに次のように続けた。「各主要都市は、市全域をカバーする何らかのWi-Fiアクセス技術を導入しようとしている。(Wi-Fiサービスは)電気や電話サービスのように市民が期待するインフラとなるだろう。しかし、技術的観点から見ると、ニューヨーク(全域にわたるWi-Fiネットワークの構築)は大きな挑戦であることは間違いない。同市の至る所でWi-Fiサービスを利用できるようにするのは難しいかもしれない」
現時点では、ニューヨークはまだブロードバンド戦略の策定に着手したばかりだ。フィラデルフィア、ニューオリンズ、サンフランシスコなどは、それぞれのプロジェクトを全力で推進しているが、ニューヨークは依然として、この問題を検討するための委員会を設置しようとしている段階だ。
ニューヨーク市のTechnology in Government委員会の委員長で、市議会議員でもあるGale A. Brewerは12日、全市民が利用可能な手頃な価格のブロードバンドアクセスサービスを提供する方法について、Michael Bloomberg市長や市議会に助言を行うための特別委員会を設置する法案に関する公聴会を開催した。同委員会を設置する目的は、利用可能な様々な技術を調査/検討し、各技術について市民に分かりやすく説明することにある。同法案の採決は12月21日に予定されている。
Brewerは会議後に行われたインタビューの中で、「公聴会を重ねるたびに、この問題の複雑さに対する実感が強くなる」と述べ、さらに次のように続けた。「われわれが実行しようとしていることを市民に知らせる必要がある。市民からの厳しい注文や要望は大歓迎だ。しかし、それにはまず、市民が技術に関する専門用語を知る必要がある。そして、市民による議論こそ、それを可能にする唯一の手段だ」
Bloomberg市長はまだ、新法案に対する支持を表明していないが、Brewerは市長が同法案を支持すると確信しているという。
Brewerらは、ブロードバンドサービスについて、それがWi-Fiや、電力線を利用するWiMaxなどの無線技術を利用したものであれ、あるいは、無線技術と競合するDSL技術によるものであれ、経済発展を加速させる手段と考えている。Brewerは公聴会の中で、ブロードバンドサービスの料金があまりに高額であるため、ニューヨーク市民のおよそ6割しかサービスを利用していないのが現状だ、と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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