「トンネルはいつか抜けるとわかってても、いざ実際に抜けてみるとうれしいものだ。ここからは、着実に利益を大きく伸ばしていきたい」。2006年3月期中間決算で、営業利益が4年半ぶりに黒字転換したことを、ソフトバンクの代表取締役社長である孫正義氏はこう表現した。
11月10日に発表した2006年3月期の上半期(4〜9月)連結決算は、売上高が前年同期比72%増と大幅に増加し、以前から孫氏が語っている「年間1兆円規模の売り上げ達成」がほぼ確実となった。また、営業利益が44億円と、半期ベースで4年半ぶりに黒字転換した(表1、グラフ)。
ADSLなどのブロードバンド事業の売上高は1256億円と前年同期比31%伸び、営業利益は10億円の赤字と、前年同期の346億円の赤字から大幅に縮小した。固定通信事業は、売上高が1719億円と前年同期比2%増のほぼ横ばいだが、日本テレコムの「おとくライン」の初期投資負担がいまだに響き、営業利益は262億円の赤字だった。
表1:上半期の業績
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単位:億円
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四半期で見ると、第2四半期(7〜9月)のブロードバンド事業の営業利益は事業開始以来初めて34億円の黒字を計上した。これが寄与して、全体の営業利益も75億円の黒字転換した(表2)。
表2:第2四半期(7〜9月)の業績
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単位:億円
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孫氏は、「ブロードバンド事業が先行投資期から完全に移行し、おとくラインも法人向けが寄与しつつあり、各事業が順調に推移しているため、通期でも営業利益、純利益ともに黒字化を達成できるだろう」と見通しを示した。
これは直接的な事業以外にも、有価証券の売却益を計上して、これまでの投資が回収期に入っていることも背景にある。上半期には「SB ITファンド1・2号」や「ブロードバンドタワー」などの売却益を合計で522億円計上した。下半期もすでに中国のTaoBaoの売却益を406億円、Yahoo!英国、ドイツ、フランス、韓国の売却益を533億円計上している。
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