2005年1月にモバイル通信を専業とする子会社のイー・モバイルを設立するなど、モバイル市場への参入に向けて着々と準備を進めるイー・アクセス。同社がここまでモバイル事業に注力する理由はどこにあるのか。東京ビックサイトにて開催中の「WIRELESS JAPAN 2005」の基調講演にて、イー・アクセス 代表取締役社長兼COOの種野晴夫氏が語った。
種野氏は、まずイー・アクセスが現在中核事業としている固定ブロードバンド市場と、新規参入しようとするモバイル通信市場とを比較し、「モバイル通信市場の規模は固定ブロードバンド市場の約12倍だ」と述べた。これは、2004年9月に総務省が発表した固定ブロードバンド市場の市場規模7000億円という数字と、同じく2004年9月に電気通信事業者協会が発表したモバイル通信市場の市場規模8兆5000億円という数字を比較したものだ。
種野氏はこうした数字に加え、「固定ブロードバンド市場には、ADSLやFTTH、CATVなどの事業者が、地域系を含め300社以上存在しているため、競争原理が働いて安価なサービスが数多く登場した。一方のモバイル通信市場は、NTTドコモとKDDIグループ、ボーダフォンの3社しか存在しない」と指摘し、「もう少し競争があってもよいのではないか」と述べた。
「モバイル市場への参入は今がチャンス」とするイー・アクセスの種野晴夫社長 |
また種野氏は、日本の携帯電話普及率がすでに限界に達しつつあるという説に反論し、「イタリアやイギリス、香港などは、携帯電話の普及率が100%を超えている。これは、1人が2〜3台の携帯電話を保有し、プライベートと仕事用、国内と海外用、音声通信とデータ通信用といったように使い分けているからだ」と主張、日本でも2台目、3台目を持つことを考えると、携帯電話普及率はまだまだ伸びる余地があるとした。
種野氏は、モバイル通信市場に参入するには今こそがチャンスだとしている。それは、新規参入事業者にモバイル通信網として1.7GHz帯が開放されたことや、携帯電話の番号ポータビリティ制度が始まろうとしていること、またモバイルブロードバンド需要が高まっていることなどが理由だ。「イー・アクセスがADSL市場に参入した時も、ドライカッパーの開放やブロードバンド需要の高まりなど、市場に変化が起ころうとしていた時だった。今回モバイル市場で同じことが起こっている」と種野氏は述べ、新規参入事業者にとって機会は整ったとした。
「イギリスでは、番号ポータビリティの導入後に事業者の新規参入があったことで、ユーザーの乗り換え意向も高まり市場はさらに活性化した。日本でも事業者が増加することで、競争による更なる市場の発展が期待できるだろう」。種野氏はこう述べ、新規事業者としての意気込みを語った。展示会場では、こうした意気込みを具現した各種の携帯端末が展示された(関連記事)。
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