フィラデルフィア(ペンシルバニア州)では、街全体にWi-Fiネットワークを張り巡らせるという前例のないプロジェクトを進めており、これまでの進展ぶりに一応満足している。そこで問題となるのは、2年後もいまと同じようにWi-Fi化計画を評価できるかどうかという点だ。
総面積135平方マイル(351平方キロメートル)の市内をWi-Fi化するという同市の実験は、米国で最も革新的なプロジェクトだとして、一部の支持者から絶賛されている。だが専門家のなかには、市全体を覆う無線網が現実のものとなる前に、技術的/事業的に重大な問題を解決する必要があると警告する者もいる。
フィラデルフィアやサンフランシスコのような大都市は、ブロードバンドアクセスを低所得層に提供する低コストな解決策として、無線ブロードバンド技術を捉えている。
また、これらの各市では、Wi-Fiネットワークを利用して公安関係や他の行政機関にブロードバンド接続を提供することで、運営コストを数百万ドルも削減できると考えている。さらに、Wi-Fiネットワークを導入すれば、市に集まる人間の数も増えることから、これが経済発展に寄与すると考える者も多い。
フィラデルフィアは2006年夏までに市の全域をカバーするWi-Fi網を稼働させる計画だ。同市は、自治体によるWi-Fiネットワーク構築の動きを代表する存在となっている。
ミネソタ州チャスカのように小規模な自治体で、市全域を覆うWi-Fi網を導入した事例はいくつかあるものの、この技術を大都市圏で検証した例はまだない。同市のほか、ニューヨークやサンフランシスコなどの大都市でも、Wi-Fi網の構築を検討している。
だが、支持者がフィラデルフィアのビジョンを賞賛する一方で、専門家の中には、人口が集中している都市部でWi-Fi網を構築することは、それほど容易なことではないと警告する者もいる。
「市全体をカバーするネットワークを構築することは、単にあちこちにアクセスポイントを設置することとは性質が異なる」とBTS PartnersのCTO、Doug Schrempは述べる。同社では、ネットワークの設計/実装に関するコンサルティングを提供している。「解決しなければならない技術的課題がいくつかあり、(Wi-Fi化を計画している)各市は、自らのネットワークを構築/所有するのにともなって生じる運用および事業面での問題を考慮する必要がある」(Schremp)
自治体がブロードバンド接続サービスを提供するという構想は、ここ数年全米各地で人気を集めている。だが、地元の電話会社やケーブル業者は、市がこのようなブロードバンド網を運営すれば、自社事業への脅威になるとして、これらの計画に反対している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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