NECは、無線パケット通信規格High Speed Downlink Packet Access(HSDPA)とVoIP用システム規格IP Multimedia Subsystem(IMS)に対応し、高性能パケットコアを連携させた実用レベルのシステムを構築した。同社が2月14日に明らかにしたもの。同システムのデモンストレーションを、2月14日〜17日にフランスのカンヌで開催される3GSM World Congress 2005と、3月10日〜16日にドイツのハノーバーで開催されるCeBIT2005で実施する。
HSDPAはW-CDMAを高度化したパケット通信方式で、第3世代(3G)携帯電話の標準化団体Third Generation Partnership Project(3GPP)が仕様を作成している。通信速度は現行3Gシステムの約30倍と速く、「無線LANと同等のスムーズなストリーム映像を、移動しながら楽しめる」(同社)という。
同社は、既存基地局に組み込めるHSDPA対応チャンネルカードの開発を完了しており、3GSM World Congress 2005で商用レベルの無線基地局装置を実際に動作させる。同カードは、HSDPAの理論限界値である14.4Mbpsの通信速度スループットを達成。HSDPAの全クラスに対応している。対応ソフトウェアは2005年中に提供できる見込み。
同システムで使用する高性能パケットコアは、キャリア向け通信機器規格のAdvancedTCA(ATCA)と、キャリア向けLinuxに対応した製品。既に累計100台以上の出荷実績を持つ。
IMSは、W-CDMA方式のパケット通信ネットワーク上でVoIP音声通話サービスを実現するための規格。3GPPが策定した。同社のIMSは、国内および欧州のモバイル通信事業者が実地試験を進めており、「3Gネットワークの本格普及とともに、商用ネットワークに向けて直ちに出荷可能な段階にある」(同社)
デモンストレーションでは、市販されている3G携帯電話に同社のIMSクライアントを搭載し、Push-to-Talk over Cellular(PoC)、プレゼンス、チャット、ウェブシェアリングなどのサービスを実演する。
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