総務省は11月8日、「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」の第3回を開催した。4日に各社から出された意見を基に議論が行われ、新規参入を狙う各社の事業計画が明らかになった。
具体的な数値が明らかになったのは、ソフトバンクBBとイー・アクセスの2社。いずれもW-CDMAもしくはCDMA 2000方式を利用する予定で、投資金額は数千億円規模という。基地局の設置台数はソフトバンクBBが「既存事業者と同程度の1万数千カ所」(同社代表取締役社長の孫正義氏)、イー・アクセスが「1万2000カ所」(同社代表取締役の種野晴夫氏)と大きな違いはない。
ただし想定加入者数には若干の差がある。ソフトバンクBBは「ソフトバンクグループは日本テレコムを含めて約1100万件の固定回線契約がある。携帯電話事業も1000万件規模を収容したい」(孫氏)として、5年後の加入者数を1000万件前後としている。これに対し、イー・アクセスは500万〜700万件とやや少ない。
同じく新規参入を目指すアイピーモバイルは、TD-CDMA方式を利用した高速データ通信サービスを提供する予定。「既存の携帯電話とは異なり、マシン・トゥ・マシンのサービスによって新市場を開拓する」(同社代表取締役の杉村五男氏)。現在はTD-CDMA方式の技術検証を行っている段階で、実験が終わってから詳細な事業計画を策定する予定という。平成電電は「現時点で設備投資額などの詳細な計画は立てていない」(同社代表取締役の佐藤賢治氏)として具体的な数値を明らかにしなかった。
新規参入する事業者の数や利用する周波数幅については意見が分かれた。「帯域を細分化するのは有効利用の観点から望ましくない」(東京工業大学大学院理工学研究科 助教授の高田潤一氏)という意見が出る一方、「上下合わせて20MHz帯あれば750万人ほど収容できる。新規参入者には十分ではないか。競争上の観点から複数の新規参入を認めるべきだ」(イー・アクセスの種野氏)という意見もあった。
NTTドコモやボーダフォンといった既存事業者が新規周波数の割当を希望していることについては、新規参入者から周波数の逼迫度合いに疑問の声が上がっていた。この点についてボーダフォン取締役の津田志郎氏は「3Gではデータ通信によってパケット量が大幅に伸びる。これは未知の領域だ。データ通信はスループットとの兼ね合いになるため、品質をどの程度にするかという条件によって、周波数がどれだけあれば潤沢かというのは変わってくる」と指摘し、「各社で共通認識が持てるような議論ができればいい」とした。
ソフトバンクBBの孫氏がこだわる800MHz帯については、NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫氏が「新規に周波数を割り当てられるのではなく、現在800MHz帯で上下合計58MHzもらっているものを再編して30MHzにまで整理縮小する計画だ」と説明して理解を求めた。
800MHz帯の利用については、11月25日に行われる第4回検討会で議論される予定。ここではNTTドコモとKDDIが800MHz帯と2GHz帯を利用した場合の設備コストの比較データを提出する。また、1.5GHz帯を利用するボーダフォンは800MHz帯に比べて高い周波数を利用することによって事業障壁が生じたかといった点を説明することになっている。
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