複数の携帯電話メーカーが、いわゆるWi-Fi電話のリリース前倒しを計画しており、ワイヤレス通信キャリアや従来の電話会社に新たな脅威とチャンスをもたらそうとしている。
高い期待が集まるハイブリッド電話であるが、これを使えば、ユーザーはローカルの無線インターネットアクセスポイントを使用しながら、必要に応じて、携帯電話ネットワーク回線に接続先をシームレスに切り替えることができる。その結果、モバイル通信の柔軟性が向上するとともに、携帯電話利用時間としてカウントされるはずの通話時間をインターネット通話に切り替えることで、通話料を削減できる。
このようなサービスの実現を約束する新しい携帯電話は、MotorolaやHewlett-Packard(HP)、NECから今年中に発売される予定だ。それぞれに仕様は違うが、どれもが電気通信業界に変化をもたらしている3つの最新技術をひとつのデバイスに統合するもので、その最新技術とはWi-Fiワイヤレスネットワーク、VoIP、そしてワイヤレスブロードバンドだ。
「現在、北米または欧州の大手キャリアを調べてみれば、各社とも、少なくともWi-Fiと携帯電話を1つのパッケージに統合する戦略を計画している段階にあることが分かる」とNovatel WirelessのバイスプレジデントBrad Weinertは言う。「彼らが直面している課題は、これを大規模なベースで管理するインフラだ。しかし、各社とも確実にこの方向に向かって急速に動いている」(Weinert)
短距離の高速ネット接続と携帯電話サービスの結合は、共に発展してきた2つの技術を1つにし、協調と競争の両方の可能性を創出している。携帯電話キャリア各社は、自社システムを高速データ通信を実現する第三世代(3G)サービスへとアップグレードするために何十億ドルもの投資をしている。しかし、これらは、Wi-Fiがカバーする狭い範囲を超える広域サービスを提供する一方で、データ転送速度は最高でも500kbps以下と、54Mbpsをたたき出すワイヤレスLANの技術とは比べものにならない。
ひとつのデバイスで両方のネットワークを利用できるようにすることで、消費者はそれぞれのサービスの長所を使い分けることができる。
ハイブリッド携帯電話では、データと音声の両方のアプリケーションを利用できるが、最近まではデータ通信により多くの関心が集まっていた。しかし、Wi-Fiと携帯電話ネットワーク間での切り替え技術の向上と、企業ネットワークでのVoIPの普及率拡大のおかげで、状況は変わりつつある。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス