富士通研究所は6月30日、印刷された画像内に暗号データを埋め込む技術を開発したと発表した。携帯電話のカメラで画像を撮影すると、埋め込まれたデータを解析して簡単に電話をかけたりインターネットにアクセスしたりすることが可能になる。
携帯電話を利用して読み込むデータとしては、バーコードやQRコードが一般的に使われている。しかしこれらのコードを使うためには、文章や画像とは別にスペースを設けて掲載する必要があり、デザインを損ねるといった問題があった。富士通が今回開発した技術は画像内にデータを埋め込むため、限られたスペースでも利用でき、デザインの自由度が広がるといった利点がある。
印刷された写真を読み込めばデータを取得できる |
暗号データはバーコードと同じ12桁の数字を利用する。このため、「(番号コードなどの)バーコードの既存システムをそのまま利用できる」(富士通研究所ペリフェラルシステム研究所主管研究員の野田嗣男氏)。1cm四方の大きさであれば、約1兆種類のデータを埋め込むことができるという。
数字の符号化には画像の黄色の濃淡差を利用した。具体的には、画像を0.8mm四方のブロックに分け、隣接する2ブロックの平均濃度の差分に意味を持たせる。画像の色バランスはプリンタやコピー機によって異なるが、「全体の濃さが変わっても、差分は変わらない」(野田氏)ため、どの機械で印刷してもデータを読み取ることが可能という。データの読み取り速度は1秒以下と高速だ。
埋め込まれたデータを解析するためには、携帯電話に専用のソフトウェアを内蔵させる必要がある。また、読み込める12桁の数字をサイトのURLと関連づけるためには、別途アプリケーションをダウンロードする必要があるという。
製品化については未定といい、「今後携帯電話事業者や印刷業者などとの連携を進めていきたい」(野田氏)と述べるにとどめている。
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